兄弟漫才の酒井くにおさん慢性虚血性心疾患で74歳死去 酒とたばこ愛する昭和芸人の耳みグセ

オネエ口調と「とおるちゃん!」のセリフで人気を博した兄弟漫才コンビ「酒井くにお・とおる」のくにおさん(本名・酒井国夫)が先月28日、慢性虚血性心疾患のため、大阪市内の自宅で死去した。74歳だった。葬儀は近親者のみで行われた。所属事務所の松竹芸能が7日、発表した。 関係者によると、くにおさんと連絡が取れなくなったことを不審に思った弟で相方のとおるが自宅を訪れたところ、くにおさんが倒れており、すでに亡くなっていたという。先月21日の心斎橋角座での舞台が最後の仕事となった。
岩手・奥州市出身のくにおさんは1970年、弟のとおるとコンビを結成し、「さがみ三太・良太」に入門。コントを始め、72年に漫才に転向した。関西に拠点を移し苦労もあったが、97年には上方漫才大賞を受賞。昨年は大阪市市民表彰・文化功労部門を受賞していた。女形の芝居をしたり、女装コントで「お笑いスター誕生!」を勝ち抜くなど、女性っぽい言葉やしぐさで知られるが、これは岩手の方言を消すためだった。
温和な性格のくにおさんの周りには多くの芸人が集まった。結成年が同じの「海原はるか・かなた」のはるかは、家も近所で毎朝モーニングを食べる間柄。森脇健児やお笑いコンビ「よゐこ」ら事務所の後輩からも慕われた。
昭和の芸人らしく酒とたばこを愛した。最近は飲まなくなっていたというが、かつて酒席をともにした芸能関係者は「何を言っても流してくれるんやけど、酔っぱらったら『アンタねー』って、あの口調で言いながら耳をかんできたり、他の人が歌ってるのを邪魔したりしてね。レツゴーじゅんさんに『ええ加減にせー!』なんて怒られてたけど、とにかく楽しく明るく暴れる感じやったね」と懐かしそうに振り返った。
「とおるちゃん!」の声が聞けなくなるのは、何とも寂しい。