自民党が山際大志郎・前経済再生相を党新型コロナウイルス感染症対策本部長に起用したのは非常識だとして、党内からも疑問の声が上がっている。「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との接点が相次いで発覚して閣僚を辞任した直後の起用が、内閣支持率が続落する大きな要因となったとの見方も出ている。
茂木幹事長は7日の記者会見で山際氏の起用に関して問われ、「人事は常に適材適所で行われている」と強調した。山際氏は8月の内閣改造で経済再生相に留任後、旧統一教会との接点が相次いで判明した。一方で、国会審議や記者会見で、十分に説明しなかったことで逆風が強まり、岸田首相が事実上の更迭に踏み切った経緯がある。
ところが、辞任から4日後の10月28日付で、山際氏は同本部長に就任した。
同本部は政務調査会の下に置かれている。党関係者によると、起用は萩生田政調会長の下で決定され、首相(党総裁)や茂木幹事長ら幹部間で十分には情報共有されていなかった。執行部間の連携のまずさが露呈し、山際氏が所属する麻生派関係者も「派閥に相談が来ていたらこんなことにならなかった」と語る。
読売新聞社の全国世論調査(4~6日)では、岸田内閣の支持率が内閣発足以降最低の36%と続落しており、党内では、山際氏の起用が影響したとの受け止めが大勢だ。
辞任直後の起用に「タイミング的に悪手だ。一定の『みそぎ』の期間は必要だった」(閣僚経験者)と執行部の対応に不信の声も漏れる。党と旧統一教会との接点に関する世論の批判が強いことから、「旧統一教会との関係を断ち切るという党の決意を国民に疑われかねない」(党中堅)との懸念も強まっている。
首相は7日、首相官邸で開かれた政府・与党連絡会議で、今後の臨時国会の運営について「与党と協調し、緊張感をもって対応する」と述べた。
野党側は山際氏の起用を問題視し、攻勢を強めている。立憲民主党の岡田幹事長は、3日、松江市で記者団に「国民をなめたようなことが平然と行われている。巨大与党のおごりだ」と批判した。国民民主党の榛葉幹事長も4日の記者会見で、「自民党はコロナ対策をやる気がないとよくわかった」と皮肉った。
野党は、寺田総務相の政治資金を巡る問題に加え、山際氏の起用についても追及を強める構えで、今後の国会運営への影響は避けられない見通しだ。