東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で東京地検特捜部は9日、大手広告会社「ADKホールディングス」(東京都)と、大会マスコットのぬいぐるみを販売した玩具会社「サン・アロー」(同)から賄賂を受け取ったとして、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)を受託収賄罪で東京地裁に追起訴した。元理事の起訴は4回目。事件は全5ルートが起訴され、元理事への捜査は区切りを迎えた。賄賂総額は計約2億円に上った。
特捜部は同日、他にADK前社長の植野伸一(68)▽ADKの前身「アサツーディ・ケイ」元専務執行役員の久松茂治(63)▽同社元五輪・パラ本部長の多田俊明(60)――の3容疑者を贈賄罪で起訴し、サン・アローの関口太嗣(たいじ)社長(50)=9日に辞任=と父の芳弘元社長(74)を同罪で在宅起訴した。また、資金の「受け皿」とされるコンサル会社「アミューズ」(解散)の松井譲二元社長(75)を元理事の「身分なき共犯」として収賄罪で在宅起訴した。
起訴状によると、元理事はADKの3被告から五輪のスポンサー集めで組織委の専任代理店を務めた大手広告会社「電通」の再委託先に選ばれたいなどと依頼を受け、便宜を図る見返りに2017年11月~今年1月に計約4700万円を受領したとしている。サン・アローの2被告からは大会ライセンス商品を製造・販売できる契約を組織委と円滑に締結したいなどと依頼され、便宜を図る見返りに18年10月~21年4月に計約700万円を受領したとされる。
贈賄側は公訴時効(3年)を迎えていない分を起訴し、贈賄額はADK側が約1400万円、サン・アロー側が約200万円。
他の3ルートは、横浜市の紳士服大手「AOKIホールディングス」(賄賂額5100万円)▽東京都の出版大手「KADOKAWA」(同約7600万円)▽大阪市の広告会社「大広」(同約1500万円)。元理事は5事件全ての起訴内容を否認しているとされる。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔】