2018年に月刊誌「新潮45」で、LGBTを念頭に「生産性がない」と寄稿し、大炎上した自民党の杉田水脈総務政務官(55)が国会で“フルボッコ”にされている。デタラメ政治資金報告に揺れる寺田稔総務相、問題発言の葉梨康弘法相も含めて岸田政権の“急所”になりつつある――。
9日の参院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会で、「寄稿文を謝罪、撤回するつもりはないのか?」と杉田氏に迫ったのは、ゲイを公言している立憲民主党の石川大我参院議員(48)だ。
8月の内閣改造で杉田氏は初めて政務官に就任したことで、政府側の一員として答弁しなければならない立場になった。すでに立民は杉田氏の資質に焦点を当て、衆参の各委員会で狙い撃ちしている。
この日はLGBTの当事者として初めて石川氏が質問に立ち、杉田氏に謝罪、撤回を求めたが、「配慮を欠いた表現をしたことは素直に反省している。批判があるのは重く受け止めている」と繰り返すばかり。
重度障害者のれいわ新選組の天畠大輔参院議員(40)も杉田氏への質問で「生産性がないものは行政の支援に値しないと断ずる発言に恐怖を覚えた。今、あなたと対面することにすら恐怖」と打ち明けた。
杉田氏の答弁に怒り心頭の立民やれいわは今後も杉田氏を国会答弁の場に引き出す考えだ。「政務官だと、どの委員会でも出席要求できるので、事実上、杉田氏を毎日呼んで、追及することができる」(野党議員)。こうなると、矢面に立つことが想定内なのに杉田氏を重用した岸田政権の姿勢が問われるところだ。
「旧統一教会との接点が相次いで発覚し、閣僚を辞任した山際(大志郎)議員と同じ構図です。過去のことが蒸し返されて、問題視されるという意識がなかったとしか言いようがない。杉田氏は安倍晋三元首相が面倒を見ていたこともあって、派閥順送りで政務官に当て込んだだけで、本人も政務官になれるならと喜んで受けた。反省はしても謝罪、撤回しないのは支持者への配慮なのか意地なのか分からないが、野党の追及が激しいので、こじらせているだけになっている」(永田町関係者)
野党の標的はデタラメな政治資金収支報告書の問題で揺れる寺田総務相と杉田氏の2人に向かい、意気が上がっている。おまけに、9日夜には、葉梨法相が都内の会合で「だいたい法相は朝、死刑(執行)のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職だ」と言い放ち、今後批判されるのは必至だ。ついに30%台まで支持率が低下した岸田政権。対応次第では、さらなる支持率低下を招くどころか、命取りになる可能性もある。