長期間にわたり、職員が計約1億7700万円もの多額の公金を着服していたことが判明した福島県会津若松市。職員は不正の証拠となるデータを削除したり、加工したりして発覚を免れていた。記者会見を開いた室井照平市長は、チェック機能に不備があったことを認め、「市長として大変重く受け止め、責任を痛感している。再発防止の徹底と原因究明に努める」と述べた。
着服を行った市障がい者支援課の小原龍也副主幹(51)は1996年、合併前の旧河東町役場に入庁。合併後は社会福祉課(現障がい者支援課)やこども家庭課で、重度心身障害者の医療費助成金や児童扶養手当の給付事務などを担当していた。
過去の受給者の名前を使用し、振込先を自身の預金口座にするなどして虚偽の振り込みデータを作成する手口で、助成金や児童扶養手当を計約40回にわたって着服していたという。
児童扶養手当の給付事務は従来、担当者が処理した内容を副担当とグループリーダーが確認し、最終的に課長が決裁する仕組みだった。だが、小原副主幹は給付事務のグループリーダーの立場を悪用。自身が担当者を兼任したり、副担当に経験の浅い新人職員を充てるなどして、チェック機能が働きにくい環境をつくっていた。
給付事務で経験が豊富な小原副主幹に対し、部署内では「任せておけば安心」という雰囲気もあったため、事務の分担を変えたことに疑念を抱く職員はいなかった。市の事情聴取に対し、小原副主幹は「(不正が)できるからやった。やる気になればできる」などと話しているという。
市は今後、事務処理で不正が起きるリスクを認識し、未然に防止する仕組みや体制づくりを進める方針で、室井市長は「速やかにチェック体制の見直しを行う。今回の事案と類似する業務についても、適切に処理されているのかを調査する」と述べた。
市は今回の不祥事を受け、市長を減給2分の1(7か月)、退職手当を半額とし、副市長を減給10分の3(7か月)とする条例案を市議会に提出する。また、監督責任を問い、当時の上司らも減給の懲戒処分とした。