岸田首相が〝中国名指し批判〟の豹変 閣僚の相次ぐ辞任、内閣支持率続落で覚醒して奮起したか 八幡和郎氏「言葉だけで腰砕けにならないよう注目すべき」

岸田文雄首相は13日、カンボジアの首都プノンペンで開催していた東アジアサミットで、軍事的覇権拡大を進める中国を名指しで批判した。米国や中国、ロシアなど、各国代表も出席していた。葉梨康弘前法相など閣僚の相次ぐ辞任や、親中派閣僚の存在、防衛費のGDP(国内総生産)比2%以上の増額に合わせた増税検討、物価高騰への対応などから内閣支持率が続落するなか、やっと覚醒して奮起したのか。
「東シナ海では中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されている」「(台湾海峡の平和と安定が)地域の安全保障に直結する重要な問題だ」
岸田首相はこう訴えた。
東南アジア諸国連合(ASEAN)と、日米中韓露など計18カ国が参加した同サミットには、ジョー・バイデン米大統領や、中国の李克強首相、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相らも参加していた。
岸田首相は、中国軍が8月、台湾周辺での大規模軍事演習時に、日本のEEZ(排他的経済水域)内に弾道ミサイル5発を撃ち込んだことにも言及した。さらに、中国による新疆ウイグル自治区での人権弾圧や香港情勢への「深刻な懸念」も表明した。
昨年10月の内閣発足以来、岸田内閣には親中傾向が見られ、「政界屈指の親中派」である林芳正外相の言動には疑問が指摘されていた。
インドネシア・バリ島で15、16日に開かれるG20(20カ国・地域)首脳会議などに合わせて、岸田首相と中国の習近平国家主席との首脳会談が調整されている。岸田首相の変化をどう見るか。
評論家の八幡和郎氏は「中国に気を使う従来の姿勢からみると突出した発言で、岸田首相の真意は分からない。ただ、欧米はじめ各国が中国に厳しい姿勢をとるなか、違う判断が働いた可能性もある。いずれにしても、言葉だけで腰砕けにならないよう、注目すべきだ」と語った。