「餃子の王将」を全国展開する王将フードサービス(京都市山科区)の社長だった大東隆行さん(当時72歳)が2013年12月に射殺された事件で、京都地検は、北九州市の特定危険指定暴力団・工藤会系組幹部、田中幸雄容疑者(56)=殺人などの疑いで逮捕=を、勾留期限の18日にも、殺人罪で起訴する方針を固めた。
捜査関係者によると、田中容疑者は雑談には応じるものの、事件については黙秘を続けている。指示系統などは明らかになっていないが、地検は田中容疑者が実行役として大東さんを銃撃したとみている。
現場付近では、回収された複数のたばこの吸い殻から検出されたDNA型が、田中容疑者のものと一致。また、現場から約2キロ離れた駐輪場では、襲撃や逃走に使われたとみられる盗難バイクが見つかり、ハンドルからは銃器を使った際に残る硝煙反応が出た。さらに、事件前日には現場近くの路上などで田中容疑者と酷似した姿が防犯カメラに記録されていた。複数人が事件に関わり、少なくとも数カ月前から周到に準備を進めていた疑いがある。
直接的な目撃証言や供述はないとされるが、地検はこれらの状況証拠を基に、田中容疑者を起訴できると判断したとみられる。
京都府警は10月28日、別の銃撃事件で実刑判決を受け、福岡刑務所(福岡県宇美町)に収監中だった田中容疑者を殺人と銃刀法違反の疑いで逮捕していた。
田中容疑者の逮捕容疑は、13年12月19日午前5時45分ごろ、王将本社前の駐車場で大東さんを銃撃して殺害したとされる。