旧統一教会の養子縁組あっせん、信者間で745人 事業届け出せず

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、新たな問題が浮上した。元2世信者が16日、野党の会合で「教義のために養子縁組が行われている」と訴えた。加藤勝信厚生労働相は、これに先立つ同日の衆院厚生労働委員会で、事実関係を把握するために東京都と合同で教団本部に対して確認書を出す意向を示した。
2016年に成立、18年に施行された養子縁組あっせん法では事業を許可制としており、事前に都道府県知事らの審査を受ける必要がある。事業者に対しては、厚生労働省令で定める手数料以外の金銭の受け取りを禁じている。同法の施行以降も、あっせんを一定の目的で反復継続的に行っていた場合、報酬の受け渡しがなくても法に違反する可能性がある。
ただ、確認書は任意での調査となり、事実関係がどこまで判明するかは不透明だ。
教団広報部への取材によると、1981~2021年、信者家庭間で745人の養子縁組があった。成立した場合は「2世信者を把握し、祝福の意を伝えるため」にも報告を求めているという。教団は報酬や対価を得てはおらず「献金を求めることもない」と答えた。
「かつては教団本部が主導してあっせんし、互いに面識がない信者同士をつなぐこともあった」と認める一方、「20年ほど前に、子どもを養子に出そうという家庭がなくなり自然消滅した」とした。ただ「各教会内で、子がいない信者と子だくさんの信者を引き合わせることは今でもあるかもしれない」と説明。あっせん事業者に求められる届け出は出していないと認め、「過去の行為が法的にどうかは厚生労働省に精査してもらうしかない」としている。【小鍜冶孝志、春増翔太】