担当替えで残業月76時間、「何を考えているのか」と上司は叱責…日本製鉄の28歳労災死

日本製鉄名古屋製鉄所(愛知県東海市)の社員だった水谷

翔紀
(しょうき)さん(当時28歳)が2020年2月に自殺したのは、残業の急増と上司の

叱責
(しっせき)によりうつ病を発症したためだとして、半田労働基準監督署(同県半田市)が労災と認定していたことがわかった。認定は22年4月20日付。
遺族と代理人の弁護士によると、水谷さんは10年4月に技術職として入社。19年10月から経験のない大型発電設備の修繕担当になって業務量が増え、20年1月は時間外労働が76時間に上り、前月より51時間増えた。上司とのトラブルもあり、「何を考えているのか」などと叱責されたという。
労基署が開示した文書では、こうした複合的な要因で20年2月上旬頃、うつ病を発症したとしている。
遺族によると、水谷さんは2月6日朝、社員寮の駐車場に倒れているところを発見された。9階の自室から転落したとみられ、病院で死亡が確認された。自室に遺書があったという。
遺族は同社に損害賠償を求める方針。母親の友美さん(65)は「異変に気づいてあげられず、悔やんでも悔やみきれない」と述べた。
同社は取材に「個人情報に関わるためコメントを差し控える」と回答した。