共産党は14日、小池晃書記局長による、田村智子政策委員長への叱責が「パワハラ」だったと認定して、党規約に基づく警告処分とした。
小池氏は5日、党本部での全国地方議員・候補者会議で、地方議員の名前を読み間違えた。進行役の田村氏が訂正すると、小池氏は「間違っていない」などと威圧的な行動を取ったという。その模様はネットで公開されていて、筆者も見た。
映像には、小池氏が田村氏のところにやってきて、「ちゃんと読んでるって!」「訂正する必要ないって!」と何度もせまり、田村氏が仕方なく「ごめんなさい」と謝るところが〝きれい〟に映っていた。
小池氏は14日の謝罪会見で辞任を否定した。だが、同じことを自民党の茂木敏充幹事長(=小池氏のカウンターパート)がやったら、絶対に「辞めろ」と言うだろう。
共産党は志位和夫委員長(68)が22年間もトップを務めており、ナンバー2の小池氏(62)、ナンバー3の田村氏(57)のどちらかが、「そろそろ後を継ぐのではないか」とみられている。
小池氏とは、テレビで何度もご一緒したことがあるが、舌鋒鋭く、そのくせ愛嬌(あいきょう)もあり、「多分、志位氏の次は小池氏なんだろうな」と思っていた。ただ、最近の共産党の政権参加への意欲が、もし小池氏の意志なら「ちょっと嫌だな」と警戒はしていた。というのは、志位氏は政権参加について筆者の知っている限り消極的だったからだ。
一方の田村氏は「桜を見る会」の追及で名を挙げた人だが、最近はウクライナへの防弾チョッキ供与の際、「反対と表明することは考えていない」と発言して話題になった。その後、どうやら党内で叱られたらしく「党内で相談せずに発言した。わが党として賛成できない」と修正した。
筆者にとって、田村氏の「共産党らしくない」振る舞いは、非常に新鮮だった。
今回、党内ナンバー2の小池氏が、ナンバー3で「女性」の田村氏にパワハラをした。これは小池氏にとっての政治的ダメージはかなり大きいし、次期委員長レースにも影響するだろう。
共産党としても、「共産党らしくない」女性を委員長にする方がウイングを広げるという意味では、むしろ「得」なのではないか。
日本は先進国で、最も共産党に優しい国だと思う。それは高齢者の支持だけでなく、国の豊かさが根底にあると思う。
だから共産党は、今回の事件を機に、女性を委員長にして、ソフト路線に転換すれば、ある程度の支持は得られるのではないだろうか。ま、余計なお世話かもしれませんが。 (フジテレビ上席解説委員・平井文夫)