新潟県新発田市で2014年に会社員女性(当時20歳)を殺害したなどとして殺人と強制わいせつ致傷、わいせつ略取誘拐の罪に問われた喜納(きな)尚吾被告(39)の裁判員裁判の判決で新潟地裁(佐藤英彦裁判長)は18日、無期懲役(求刑・死刑)を言い渡した。弁護側は公判で無罪を主張し、裁判員らの判断が注目された。
起訴状などによると、喜納被告は14年1月、出勤途中に同市内で信号待ちをしていた女性が運転する軽乗用車に乗り込み、わいせつな行為をして約1週間のけがをさせた上、何らかの方法で溺死または窒息死させたとされる。女性は同4月、同市内の竹やぶから一部が白骨化した遺体の状態で発見された。
この事件では手がかりとなる直接証拠が乏しく、公判では女性が殺害されたのか否かの「事件性」▽仮に事件だとして犯人が喜納被告なのか否かの「犯人性」――の2段階の争点で検察側と弁護側が主張を交わした。初公判から結審まで公判は13回に及んだ。
検察側は、女性の車のハンドルから検出された混合DNA型について、鑑定の結果、女性と喜納被告の型と一部が重なったと主張。女性と面識のなかった被告がハンドルに触れたのは「事件当日以外にない」と指摘した。一方、弁護側は「混合DNA型では個人を特定できない」などと鑑定の信用性を否定した。
論告公判で検察側は「生命軽視が甚だしく、更生が期待できない。極刑を回避すべき事情はなく、遺族の処罰感情も峻烈(しゅんれつ)だ」と述べ、弁護側は「『犯人だとすれば矛盾がないこと』と『犯人であること』は別物だ」と反論した。女性の遺族は被害者参加制度を利用して意見陳述し、被告に極刑を求めた。
喜納被告は、別の女性への強姦(ごうかん)致死罪や勾留質問中に新潟地裁から逃走を図った逃走未遂罪などで18年に無期懲役が確定。岐阜刑務所に服役中の20年、今回の事件で逮捕・起訴された。【池田真由香、露木陽介】