米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、国土交通相が2019年4月に沖縄県の埋め立て承認撤回処分を取り消した裁決は違法だとして、県が国に裁決の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は24日、判決期日を12月8日に指定した。2審の結論を見直す際に必要な弁論を開かないため、県側敗訴とした1、2審判決の結論が確定する公算が大きくなった。
今回の訴訟は行政事件訴訟法に基づくが、県は地方自治法に基づく裁決取り消し訴訟も別に起こし、20年3月に最高裁で県側敗訴が確定している。今回の訴訟も県側敗訴が確定すれば、県が出した埋め立て承認撤回処分を巡る国との法廷闘争は終結する。
沖縄県は13年12月、当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が公有水面埋立法に基づく政府の辺野古沿岸部埋め立て申請を承認した。しかし、県は18年8月、急逝した翁長雄志(おながたけし)知事の遺志として、辺野古沿岸部の埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかったことなどを理由に承認を撤回。国交相は19年4月、この撤回処分を取り消す裁決をし、県が同8月に行政事件訴訟法に基づき裁決の取り消しを求めて提訴していた。
1審・那覇地裁は20年11月の判決で、過去の最高裁判例にならい「国や地方自治体は自らの権利や利益の保護・救済を求めて訴訟を起こすことはできるが、今回の裁決取り消しの求めはそれに当たらない」として、県の原告適格を認めずに訴えを却下。2審・福岡高裁那覇支部判決も21年12月、1審を支持して県の控訴を棄却した。1、2審とも訴訟の要件を巡る「入り口論」で県の請求を退けており、県の処分の正当性や国の裁決の適法性について判断は示さなかった。【遠山和宏、遠藤孝康】