自殺した赤木さんの妻「悔しい気持ちでいっぱい」、森友文書改竄訴訟

学校法人「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題で自殺した近畿財務局の元職員、赤木俊夫さん=当時(54)=の妻、雅子さん(51)が、佐川宣寿(のぶひさ)元国税庁長官に1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であり、中尾彰裁判長は請求を棄却した。雅子さんは閉廷後、「残念でならない」と悔しさをにじませた。判決を不服として控訴する方針。
赤木さんが生前使っていたマフラーと、おそろいの時計を身につけて取材に応じた。望んだ結果が得られず、「夫は守ってもらえなかったのに、佐川氏は守ってもらえて理不尽」と胸の内を吐露した。
「真実が知りたい」と令和2年3月に提訴してから2年8カ月。雅子さん側は佐川氏や財務省幹部らの証人尋問を求めたが大阪地裁は認めず、「知りたかった情報は何も出てこなかった」。
この日も佐川氏側は代理人すら法廷に姿を見せず、「せめて一緒に判決を聞いてほしかった。悔しい気持ちでいっぱい。佐川氏には(改竄の経緯などを)公の場でしっかりと説明してほしい」と訴えた。
当初の被告は国と佐川氏だったが、国は昨年6月、赤木さんが改竄の経緯をつづった文書(通称・赤木ファイル)を開示。その半年後、約1億円の賠償請求を受け入れる「認諾」の手続きをとって訴訟を終わらせた。残る争点は、佐川氏個人の賠償責任を認めるかどうかだった。
中尾裁判長は国家賠償法や最高裁判例に基づき、公務員が職務で損害を与えた場合は個人ではなく国が賠償責任を負うと判断した。