東京五輪・パラリンピックのテスト大会事業を巡る入札談合事件で、大会組織委員会側と大手広告会社「電通」が入札前に調べた応札予定企業の受注意向について、一部の企業に内容を伝達し、受注調整を図った疑いのあることがわかった。談合の疑いのある入札26件のうち半数以上が「1社応札」だったことも判明。東京地検特捜部と公正取引委員会は、組織委側や電通が事前に落札企業を決めていたとみて調べる。
特捜部と公取委は25日、各競技のテスト大会を計画立案する業務を落札した電通やイベント会社「セレスポ」の本社、テスト大会の運営などを担当した組織委大会運営局元次長の自宅を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で捜索した。
関係者によると、組織委側と電通は、応札が見込める企業から受注意向などを聞き取って一覧表を作成し、共有。このうち一部の企業に、各社の受注意向や競技会場ごとの受注見通しを伝えていた疑いがあるという。
計画立案業務の入札は2018年5~8月に26件実施。落札総額は5億円余りに上るが、半数以上の十数件では1社しか入札に参加しなかった。実際の受注はほぼ一覧表の通りだったという。特捜部と公取委は、組織委側と電通が落札企業をあらかじめ決めていたとみて、入札の詳しい経緯を調べる。
組織委(清算法人)によると、計画立案業務を受注した9社と1団体は、テスト大会や本大会の競技運営の業務について組織委と随意契約を締結。契約総額は少なくとも200億円に上る。特捜部と公取委は、本大会の競技運営などを受注することも視野に談合が行われていた可能性があるとみている。
電通、セレスポは25日、「捜査に協力していく」とコメント。セレスポ幹部は25日の取材に「談合には全く関与していない」と話した。