東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が発注したテスト大会の計画立案業務を巡る談合事件で、東京地検特捜部と公正取引委員会は28日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で広告業界2位の「博報堂」(東京都港区)など4社を新たに家宅捜索した。25日に最大手の「電通」などを捜索しており、受注調整に加わった疑いがある企業は7社に拡大した。
組織委は入札前、各企業がどの競技会場を希望しているかを確認し「割り振り表」を作成して企業側と共有していたとされるが、その方法がメールだったことも新たに判明した。過去の談合事件では「仕切り役」が業界各社を一堂に集めて受注調整をするケースが多いが、今回の形態について特捜部などは組織委側が企業間をつなぐ「中継役」になって調整が進められたとみている模様だ。
28日に博報堂の他に捜索を受けたのは、広告会社「東急エージェンシー」(港区)、イベント会社「セイムトゥー」(千代田区)、同「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」(江東区)。25日に捜索を受けた電通とイベント会社「セレスポ」に、特捜部に談合への関与を認めているとされる「ADKホールディングス」を加え、談合への関与が疑われる企業は7社に及んだ。
テスト大会の計画立案業務は計26件の一般競争入札が実施され、9社が総額約5億3700万円で落札した。このうち談合が疑われる7社関連の受注は23件(落札総額約5億2200万円)に上る。一方、本大会の運営も含めると9社の受託費は200億円を超える可能性がある。
テスト大会の運営は組織委大会運営局が担当。関係者によると、同局には複数の落札企業の社員が出向者として在籍し、割り振り表を各社にメールで送って共有していたという。実際の受注もほぼ表の通りだったとされる。特捜部は25日に同局元次長の自宅も捜索している。
博報堂、東急エージェンシー、セイムトゥー、FCCはいずれも「捜査には協力していく」などとした。【柿崎誠、二村祐士朗】