再び6人で争う品川区長選、前例ない「再々選挙」の可能性…1人出馬取りやめも新たに1人立候補

東京都品川区長選の再選挙が27日、告示され、いずれも無所属で新人の6人が立候補した。当選者が出なかった10月の区長選と同数の候補者が並び立つ構図となり、有権者の動向次第では、再び当選が決まらずに前例のない「再々選挙」となる可能性もある。投開票は12月4日。
立候補を届け出たのは、前区議の石田秀男氏(63)(自民推薦)、元大学教授の村川浩一氏(75)(共産推薦)、前都議の森沢恭子氏(44)、前区議の西本貴子氏(62)、前区議の石田慎吾氏(43)(国民民主推薦)、元銀行員の山本康行氏(46)。
4期16年務めた浜野健前区長の引退に伴い、10月に投開票された1回目の区長選では6人の候補者に票が分散。最も票を得た候補も当選に必要な法定得票数(有効投票総数の4分の1)に590票届かず、再選挙が決まった。その後、1人が出馬を取りやめたものの、石田慎吾氏が新たに立候補を決め、再び6人が争う展開となった。
区などによると、首長選で当選者が決まらずに再選挙となるのは全国で7例目で、再々選挙になった例は過去にないという。
選挙戦では、長引くコロナ禍や物価高対策のほか、騒音被害を招いている羽田空港の新飛行ルートへの対応などが争点になりそうだ。各候補は27日、多くの人でにぎわう大井町駅前などに繰り出し、支持を訴えた。
石田秀男氏は午後1時頃、自民党の石原宏高衆院議員らと同駅前に立った。中学生以下の子どもへの5万円給付や高齢者の健康支援を挙げ、「自民議員として区政を支えた。即戦力として活用して」と述べた。
同駅前で午後2時頃、共産党の宮本徹衆院議員らとマイクを握った村川氏は、「品川に福祉の心を取り戻す」とし、区独自の子ども手当制度の創設や保健所の態勢強化とともに、大型再開発計画の中断も掲げた。
1回目の選挙で最多得票だった森沢氏は午後3時過ぎ、同駅前での出陣式で「今度こそ区長に押し上げて」と声を上げた。子どもの保育料や給食、医療費の無償化や高齢者らのグループホーム整備を訴えた。
西本氏は正午過ぎ、都議らと区役所近くで出陣式を開き、「経済状況がどんどん悪くなっている。暮らしを守る」とし、全区民への1万円支給や、若者向けの家賃助成や給付型奨学金の拡充を打ち出した。
石田慎吾氏は午前10時半頃、国民民主党の玉木代表らと五反田駅前に姿を見せた。「区長選に新しい選択肢を」と語気を強め、子育て支援の際の所得制限撤廃などを柱に、「現実的で偏らない政治」を唱えた。
山本氏は正午過ぎ、大井町駅前で立憲民主党の松原仁衆院議員らと出陣式に臨んだ。「今度こそ期待に応える」と述べて区役所整備費の削減を主張し、新飛行ルートも「明確に反対。国に見直しを迫る」とした。

区長選と同日程で行われる区議補選(欠員2)には、元議員1人と新人6人が立候補した。党派別では自民、国民、共産、品川・生活者ネットワークと政治団体が各1人で、無所属が2人。
26日現在の選挙人名簿登録者数は33万8996人。