政府は2日、今月中旬に改定予定の国家安全保障戦略に盛り込む項目の骨格案を与党に示した。自衛目的で敵のミサイル発射拠点などを破壊する「反撃能力」の保有や、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」行使に向けた体制整備などが柱だ。自民、公明両党は同日、反撃能力の保有で正式合意した。
戦後一貫して政策判断として見送ってきた反撃能力の保有は、日本の安保政策の大転換となる。政府は、2013年12月に策定した国家安保戦略の改定を契機に、サイバー防御の抜本強化などとあわせ、厳しい安保環境に対処できる体制を構築する方針だ。
骨格案は、3文書改定に向けた与党協議の実務者協議で提示された。反撃能力は「やむを得ない必要最小限度の自衛措置」と位置づけた。自衛権行使の要件に合致した場合に行使でき、対象は「軍事目標」に限定する。
攻撃の兆候の探知や発信元の特定を行う能動的サイバー防御に関しては、必要な法整備を進め、政府機関に権限を付与する。他の主要項目として、自衛隊の継戦能力の確保や防衛装備品の輸出拡大、経済安全保障の促進、先端科学技術の育成などが明記されている。
周辺国に対する情勢認識は、与党内で最終合意に至っていないため提示項目に含めなかった。政府は中国を「挑戦」と位置づける方向で調整している。影響の大きさを踏まえ、中国、北朝鮮、ロシアの順で記述する見通しだ。
23年度から5年間の防衛費総額の協議も大詰めを迎えている。岸田首相は2日、鈴木財務相、浜田防衛相と首相官邸でそれぞれ会談し、調整の加速を指示した。