参院はあす2日の参院本会議で、中国・新疆ウイグルやチベット、内モンゴルの各自治区などの人権問題に関する決議案を採択する方向で調整に入った。決議案は、今年2月に採択された衆院決議と同様、「中国」「非難」「人権侵害」といった文言の明記は見送られるという。中国本土や世界各地で、中国人民に厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策や、習近平国家主席の退陣を求める抗議活動が発生するなか、あまりに弱腰ではないか。ジャーナリストの有本香氏は、参院の決議案を一刀両断したうえで、他の主要国がウイグル問題に対峙(たいじ)する厳しい姿勢と、安倍晋三政権時代に日本が重大事実をつかんでいたことを明かした。 参院本会議で採択される「対中非難決議」の内容が注目されている 先週に続き、今週も永田町の人々の行動を「国辱」と断罪せざるを得ない。 参院は2日、中国・新疆ウイグルやチベットなどの各自治区などの人権問題に関する決議を採択するそうだ。その文案が11月29日、産経新聞デジタル版で報じられたが、これが目も当てられない代物なのである。 ウイグル問題などをめぐる「対中国非難決議」は、筆者にとっても因縁浅からぬものだ。昨年6月の通常国会会期末には、決議文の国会提出が見送られた末(てんまつ)を暴露した筆者の夕刊フジのコラムに対し、自民党幹事長室から「お手紙」まで頂戴した。 この経緯は本紙バックナンバー(2021年6月24日発行)でお読みいただくとして、本稿では、参院で予定される決議の何が問題かを論じたい。 最大の問題は、今年2月1日に採択された衆院決議と同様、参院の文案にも、「中国」「非難」「人権侵害」といった文言が入っていないことだ。 つまり、加害者を特定せず、何が問題かも言わず、わが国会の意志もはっきりさせない。「ちょっと心配なご様子ですねえ」という寝ぼけたニュアンスの文書なら、採択しない方がマシだとさえ筆者は思う。 ウイグル人をめぐる現状の深刻さや、他のG7(先進7カ国)諸国議会の取り組みに照らして、あまりにもズレている。 自民党は当初、衆院に続いて参院でも3月中旬ごろの決議採択を目指していたが、2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻で〝機運〟が遠のいたのだともいう。 中国はほくそ笑む これもふざけた話だ。ウクライナで戦争が起きたからと言って、他地域の深刻な問題を放置していいわけがない。国際社会が「ジェノサイド」「人道に対する罪」とまで言う重大事の決議を、「機運」頼みで、やったりやらなかったりするとは、何という無定見、デタラメさか。
参院はあす2日の参院本会議で、中国・新疆ウイグルやチベット、内モンゴルの各自治区などの人権問題に関する決議案を採択する方向で調整に入った。決議案は、今年2月に採択された衆院決議と同様、「中国」「非難」「人権侵害」といった文言の明記は見送られるという。中国本土や世界各地で、中国人民に厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策や、習近平国家主席の退陣を求める抗議活動が発生するなか、あまりに弱腰ではないか。ジャーナリストの有本香氏は、参院の決議案を一刀両断したうえで、他の主要国がウイグル問題に対峙(たいじ)する厳しい姿勢と、安倍晋三政権時代に日本が重大事実をつかんでいたことを明かした。
参院本会議で採択される「対中非難決議」の内容が注目されている
先週に続き、今週も永田町の人々の行動を「国辱」と断罪せざるを得ない。
参院は2日、中国・新疆ウイグルやチベットなどの各自治区などの人権問題に関する決議を採択するそうだ。その文案が11月29日、産経新聞デジタル版で報じられたが、これが目も当てられない代物なのである。
ウイグル問題などをめぐる「対中国非難決議」は、筆者にとっても因縁浅からぬものだ。昨年6月の通常国会会期末には、決議文の国会提出が見送られた末(てんまつ)を暴露した筆者の夕刊フジのコラムに対し、自民党幹事長室から「お手紙」まで頂戴した。
この経緯は本紙バックナンバー(2021年6月24日発行)でお読みいただくとして、本稿では、参院で予定される決議の何が問題かを論じたい。
最大の問題は、今年2月1日に採択された衆院決議と同様、参院の文案にも、「中国」「非難」「人権侵害」といった文言が入っていないことだ。
つまり、加害者を特定せず、何が問題かも言わず、わが国会の意志もはっきりさせない。「ちょっと心配なご様子ですねえ」という寝ぼけたニュアンスの文書なら、採択しない方がマシだとさえ筆者は思う。
ウイグル人をめぐる現状の深刻さや、他のG7(先進7カ国)諸国議会の取り組みに照らして、あまりにもズレている。
自民党は当初、衆院に続いて参院でも3月中旬ごろの決議採択を目指していたが、2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻で〝機運〟が遠のいたのだともいう。
中国はほくそ笑む
これもふざけた話だ。ウクライナで戦争が起きたからと言って、他地域の深刻な問題を放置していいわけがない。国際社会が「ジェノサイド」「人道に対する罪」とまで言う重大事の決議を、「機運」頼みで、やったりやらなかったりするとは、何という無定見、デタラメさか。