政府は、自衛隊の継戦能力を強化するため、2035年までに全国で新たに約130棟の弾薬庫を整備する方向で調整に入った。従来の弾薬に加え、自衛目的で敵のミサイル発射拠点などを破壊する「反撃能力」の要となる長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の保管を主に想定する。沖縄県にある在日米軍の弾薬庫の活用も検討する。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。防衛省は、陸上自衛隊が約90棟、海上自衛隊が約40棟の弾薬庫をそれぞれ整備する計画で調整を進める。まず5年間で60~70棟の整備を目指す。
政府は、今月中旬に改定予定の国家安全保障戦略など3文書に「反撃能力」の保有を明記する方向だ。反撃の手段としては、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の改良型や、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」などを見込む。ミサイルは長射程化すると大型になるため、保管施設の新設や拡張が必要となる。不十分とされる弾薬の数量も大幅に増やす。
防衛省によると、弾薬庫は全国に約1400棟あるが、北海道など北部に偏っている。全国に分散して保管する体制を整えるとともに、台湾有事を念頭に南西諸島での整備にも注力する。
弾薬庫の新設・拡張には、地元自治体の理解が欠かせないため、防衛省は慎重に地域を選び、丁寧に理解を得たい考えだ。
とりわけ在日米軍基地が集中する沖縄県では、新たな基地負担につながるとして、反発が予想される。同省は、沖縄本島での弾薬庫新設は容易でないとみて、在日米軍の嘉手納基地に隣接する嘉手納弾薬庫地区(読谷村など)の共同使用による活用を検討している。今後、米側との調整を加速する方針だ。