世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が奨励していた養子縁組の実態把握のため、厚生労働省が教団本部へ送付した質問書について、同省は5日、教団から回答書が届いたと明らかにした。この日が回答期限だった。無許可での反復継続的な斡旋(あっせん)を禁じた養子縁組あっせん法に抵触するかどうかなどが焦点で、同省は内容の精査を進める。
質問書は先月22日、東京都と連名で発出。過去に教団が関わった全ての養子縁組の成立件数など計10項目を尋ねた。このうち、あっせん法が施行された平成30年4月以降の事案は、成立年月日や地域など、より詳細な報告を求めたほか、縁組に際しての金銭授受の有無、教団に提出する必要があるとされる「養子縁組申請書」の保管状況なども盛り込んだ。
回答期限に先立つ今月2日、教団広報部は産経新聞の取材に、法施行後に成立した縁組が今年の4件を含め一定数あると認めたうえで、「いずれも信者間のつながりによるもので、教団は件数の報告を受けているだけ。法令違反はない」などと主張。同様の内容で文書回答するとしていた。
厚労省は内容を踏まえ、行政指導や刑事告発などを検討する。今後、法令違反などが確認された場合、文部科学省が質問権を行使して適否の見極めを進めている教団への解散命令請求の補強要素となることも見込まれる。