米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、国土交通相が2019年に沖縄県の埋め立て承認撤回処分を取り消した裁決は違法だとして、県が国に裁決の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は8日、県側の上告を棄却する判決を言い渡した。県の原告適格を認めずに訴えを却下した1、2審判決が確定した。
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判決を受け、沖縄県の玉城デニー知事は報道陣の取材に「非常に残念で、到底納得できない。地方自治体と国はあたかも上級、下級の関係にあると言わんばかりの判断をしたもので、地方自治の観点からも問題がある」と述べた。
県が国土交通相に代わって執行した法定受託事務を巡る国の裁決について、最高裁が今回、「都道府県は適法性を争う資格を有しない」と判示したことは、設計変更を巡る今後の国と県の訴訟の司法判断にも影響する可能性がある。玉城知事はこの点について問われ、「判決内容を精査し、行政法学者や弁護士とも相談した上で対応を検討したい」と険しい表情で語った。
その上で、大規模な地盤改良工事が必要となり、当初計画から完成が大幅に遅れる見通しの辺野古移設について「普天間飛行場の一日も早い危険性除去につながらない」と改めて強調。引き続き、政府に計画の中止や断念を求めるとともに、「国民的議論の機運の醸成に取り組む」とし、世論の喚起を図る考えを示した。【比嘉洋】