旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の被害者救済に向けた新法案の今国会成立が濃厚になってきた。野党側は自由な意思を抑圧しないよう定める寄付勧誘の「配慮義務」を「禁止規定」にするよう求めてきたが、結局、与党に“骨抜き”にされる可能性が高い。野党は与党を詰め切れないまま、国会が終わってしまいそうな状況だ。
「野党は政府・与党の修正案に反対ばかりして、国民に『法案成立を妨害している』と見られることを恐れている。10日までの会期を延長する方針も一時浮上したが、野党は落としどころを見いだす方向に転換。自民党はニンマリでしょう」(永田町関係者)
これでは岸田自民は“やりたい放題”だ。来春の統一地方選の前哨戦と目されている茨城県議選(11日投開票)を巡っても、自民党に「楽勝ムード」が漂い始めている。
「告示前の茨城県議会は全62議席の7割が自民系。強固な保守王国とはいえ、『死刑ハンコ』発言で辞任した葉梨前法相(茨城3区)のお膝元です。“葉梨ショック”で自民が大幅に議席を減らす可能性があり、野党は大チャンスのはず。ところが、自民が45人擁立するのに対し、立憲はわずか3人で維新も2人。好機を生かし切れていません」(地元関係者)
立憲、維新は「蚊帳の外」状態
全32選挙区のうち、何とか勝負になりそうなのが、定数6に対し10人が出馬している水戸市・城里町選挙区。立憲、維新はそれぞれ1人ずつ擁立しているのだが、どうも「蚊帳の外」状態だ。自民系候補が5人も立候補し“身内”同士でしのぎを削っている状況である。
「自民は2014、18年の県議選では『3人擁立、3人当選』を守ってきた。ところが、今回は過去3回の選挙でトップ当選した加藤明良元県議が22年参院選で茨城選挙区に挑戦(当選)したため、県議を辞職。宙に浮いた『加藤票』獲得が期待できるので、5人も候補が乱立したのです。野党そっちのけで自民系同士が争っています」(同)
県政自民党関係者は余裕の表情でこう話す。
「5人乱立で票が割れても、これまで通り3人は当選させられるだろう。共産党はともかく、立憲、維新が弱いですから。野党関係者は葉梨前法相の失言をあげつらっているが、葉梨さんはもともと評判が悪く、地元の人は『いつものことでしょ』と受け止めている。選挙区の情勢調査によると、立憲、維新候補は圏外で、問題になりませんね」
野党はナメられっぱなしでいいのか。