政府は7日、今月中旬に改定予定の国家安全保障戦略の骨子案を自民、公明両党のワーキングチーム(WT)に示した。中国の覇権主義的な動きを「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置づけた。
2013年に策定された現行の国家安保戦略は、中国を「国際社会の懸念」としている。「挑戦」との記述は、中国に最大限の警戒感を示しつつ、「建設的で安定的な関係」を目指す日本の立場を反映したものだ。米国や北大西洋条約機構(NATO)も戦略文書で中国の動向を「挑戦」としている。
骨子案は、中国に関し、「対外的な姿勢や軍事動向は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項」とも指摘。法の支配に基づく国際秩序の維持強化に向け、同盟国の米国と連携して対応する方針を掲げた。
北朝鮮は「重大かつ差し迫った脅威」とした。ロシアはウクライナ侵略で「国際秩序の根幹」を揺るがしたとして、欧州の「直接の脅威」とし、日本周辺では中国との連携を深めていることを踏まえ、安保上の「強い懸念」と表現した。
サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を実施する方針も明記した。サイバー防御を指揮する司令塔機能を担う組織の新設に向け、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を発展的に解消することも盛り込んだ。