世界平和統一家庭連合(旧統一教会)で繰り返されていた信者間の養子縁組を巡り、教団が縁組を行った信者に「養子縁組申請書」を提出させていたことが関係者への取材でわかった。教団側は厚生労働省に対して事実関係を認める一方、「信者の家族関係を把握するために報告を求めていただけ」として、あっせん行為は否定している。厚労省が教団の関与の実態を調べている。
今年発行された教団側の著書には、信者同士の養子縁組について、所属教会に事前に申請書を提出するよう求めているとの記載がある。厚労省が教団側に書面で事実関係を質問し、5日までに回答書が届いた。
厚労省は回答書の内容を明らかにしていないが、関係者によると、教団側は1981年から今年5月までに行われた745人の縁組について、信者から申請書を受け取っていた。内容はデータベース化し、最近のものは原本も保管しているという。このうち31件は、無許可での仲介事業を禁じた養子縁組あっせん法が施行された2018年4月以降の縁組だった。
旧統一教会側は、31件の申請書は国内約280教会のうち、すべて異なる教会に提出されており、縁組手続きが終わった後に出された例もあったことなどから、「いずれも信者間の個人的な関係を基にした縁組で、教団は縁組の法的手続きに一切関わっていない」と主張している。
同法は、あっせんを反復して継続的に行う場合は都道府県の許可を受けることを義務づけ、違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。旧統一教会は許可を得ていない。
加藤厚労相は、旧統一教会が法に抵触していた場合、「行政指導とともに刑事告発を実施することがある」と述べている。