運転開始から40年を超えて唯一稼働している関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)について、大阪地裁(井上直哉裁判長)は20日、運転の差し止めを認めない仮処分決定を出した。
「不当な決定」「司法が役割を放棄」。関係者からは住民側の主張を全面的に退けた大阪地裁を批判する声が相次いだ。
関西電力美浜原発3号機の運転差し止めを求めて仮処分を申し立てた木原壮林(そうりん)さん(79)=京都市=らは午後2時過ぎに決定内容を聞かされると、「不当決定ゆるさず即時抗告へ!」と書かれた紙を地裁前で掲げた。
住民側弁護団の共同代表を務める河合弘之弁護士は集まった数十人の支援者らに対し、「結論ありきの決定だ。裁判所は関電の言うことを150%取り入れ、老朽原発を追認した。次の闘いを展開していきたい」と訴えた。
弁護団は大阪市内で開いた記者会見で、「福島事故の悲劇は裁判官の頭の中では忘却されているかのようだ。司法の役割を放棄したに等しい決定だ」とする声明を読み上げた。申立人に名を連ねた石地優さん(69)=福井県若狭町=は「残念でたまらない。裁判官は現場に行き、断層がどれほど近くにあるか実感してほしかった」と嘆いた。
広瀬弘忠・東京女子大名誉教授(災害リスク学)は「原子力規制委員会の審査を追認するだけで、裁判所が自ら判断していない」と指摘。「原子力災害のリスクを予見するのは専門家でも困難なのに、具体的な危険性の立証を住民側に求めているのは問題だ」と疑問を呈した。【古川幸奈、沼田亮、山本康介】