アルミ会社がそば栽培「ブランド化してにぎわいを」福島・須賀川

アルミ製品の製造販売会社「SUS(エスユーエス)」(本社・静岡市)が、地域貢献活動の一環として福島事業所(福島県須賀川市虹の台)近くで今年からそばの栽培を始め、まもなく収穫を迎える。地元の耕作放棄地を再生させ、住民との交流を深めるのが狙い。担当者は「いずれは須賀川名物になるように続けていきたい」と話している。【笹子靖】
同市最東部の東山地区。蓬田岳山麓(さんろく)の傾斜地に、白い花をつけたそば畑が広がる。車で10分ほど離れた場所に製造拠点の福島事業所がある同社が、この地区で計10カ所、約2・5ヘクタールの休耕田を再生した。「初挑戦なので反省もあるが、まずまずの出来です」。活動をリードしてきた同社の営業拠点顧問、佐久間孝市さん(65)は秋風に揺れるそば畑をうれしそうに眺めた。
同社は05年に事業所を開設後、東山地区で廃校を賃借して会議や研修に利用し、毎年秋には地元との交流イベント「収穫祭」も開いている。交流の中で同地区産のそばのうまさが社内でも話題になり、「これをうちでも作りたい」と計画がスタートした。
東山地区は戦後の入植地だが、少子高齢化で農家が減って耕作放棄地も増えている。「苦労して切り開いた畑がもったいない」。元福島事業所長の佐久間さんを中心に地元住民と相談し、今年春から休耕田などを借り上げて畑の再生作業から始めた。
休耕田の多くは雑草が人の背丈ほども伸び、荒れ放題の状態。草取りや土作りなどの作業は地元住民を中心に委託し、人手がない時は市の農業公社に外注したり、同社環境整備班の社員が加わったりした。

地元のそば農家などのアドバイスを受けながら、8月上旬に「ヒタチアキ」という品種の種をまいた。「農業は素人の私たちでも、そばなら大丈夫と思ったが甘かった」と佐久間さんは苦笑する。種をまく間隔や肥料の種類、量などで試行錯誤が続いた。さらに、今月襲来した台風15号の影響で倒れた株もあり、収量は当初見込みの3割減、3000食分程度になりそう。
それでも話し合いから畑作り、栽培の作業などを通じて会社と地元の交流がこれまで以上に深まり、成果は予想以上。耕作放棄地に人が入るだけでも、住民には喜びだった。
そばの収穫は来月中旬の予定。初挑戦だった今年の反省を生かしながら、来年は畑を増やす計画もある。「味と収量を上げ、東山地区のそばのブランド化を図りたい。新そば祭りを開けるぐらいになれば、『自分も作ってみたい』という若者を須賀川に呼ぶ発信源になれるかも」と佐久間さん。「始めたばかりで、まだまだ大きなことは言えませんが」と笑った。