山形県内は17~20日、冬型の気圧配置が強まった影響で大雪となり、雪の重みで倒れた木が電線に触れるなどして、各地で停電が発生した。大蔵村の肘折温泉では19日から約280世帯が停電し、旅館側が予約客にキャンセルを申し出る事態が相次いだ。除雪中の作業事故が相次いでおり、20日も2件起きた。
山形地方気象台によると、大蔵村肘折では20日午前6時に232センチの積雪を記録。1982年の統計開始以降、12月では最大の積雪となった。仙台管区気象台は20日午後5時現在、停電の影響で大蔵村肘折と小国町小国の観測地点からデータを送信しにくくなっていて、積雪を把握できていないとしている。
同村の肘折温泉街では19日午前10時過ぎから、約280戸で停電が発生。20日午後には電源車が現地入りし、電気の供給を始めたが、宿泊客の受け入れを断るなどの影響が出ている。
旅館「四季の宿松屋」では19~21日に入っていた予約客の受け入れを断った。19日には、泊まりに来ていた客を天童市まで送り届けたといい、常務の高山茂さん(54)は、「ファンヒーターも使えず、暖もとれない。旅館の中も真っ暗で、昼でも懐中電灯を使わないと見えない。12月でこんな雪が降るなんて初めてだ」とため息をついた。
旅館「大友屋旅館」を営み、地区会長も務める大友久士さん(59)も19~20日の計35人の客の受け入れを断った。大友さんは「全国旅行支援でお客さんが増え、混み合っている状況だった。これから年末年始は繁忙期だったのに…」と漏らした。
また、旅館「若松屋村井六助」の専務の村井美一さん(53)は20日夕、「19日夜は家族5人でストーブで寒さをしのいだ。正直、ここまで停電が続くとは思わなかった。先が見えず、怖い」と話した。
このほか、近隣では20日午後6時現在、約300戸で停電が発生している。
小国町でも、町内各地で断続的に停電が発生しており、町は20日午後3時半、庁内に町長を本部長とする町豪雪対策本部を設置し、同4時半から町役場庁舎を一時避難所として開放した。
同町職員が5班に分かれて、町内の停電地区で暮らす高齢者宅を巡回し、安否確認を実施。地下水をポンプでくみ上げている世帯に対し、備蓄していたペットボトル入りの水を配給している。
20日朝から町のホームページの更新やメールの送受信ができなくなっており、町民に対し、防災無線やLINE、フェイスブックなどで情報を提供している。
山形県内各地では、20日も多くの県民が雪かきに追われ、作業事故も相次いだ。
鶴岡市大山では、トラクターを運転して除雪作業をしていた、近くの農業の男性(76)がバック中に雪山に乗り上げて横転し、右手首を骨折する重傷を負った。
米沢市城南では、はしごに乗って自宅玄関の軒先の雪下ろしをしていた会社員男性(75)がバランスを崩して転落し、背骨を折る重傷を負った。
また、県警交通企画課によると、20日午前8時半までの24時間で、県内では今季最多となる84件のスリップ事故が起きた。