阪神大震災(1995年)の被災者に貸し付けられた「災害援護資金」を巡り、兵庫県と被災9市は未返済となっている約6億3700万円(502件分)について、全額免除する方向で調整を始めた。神戸市が2021年に免除を決めており、県と各市は23年度内に結論を出したい考えだ。
災害援護資金は、自然災害で自宅が全半壊したり大けがをしたりした一定所得以下の被災者に150万~350万円を貸し付ける制度。被災者生活再建支援制度がなかった阪神大震災では県内13市で約1308億円(5万6422件)が貸し付けられた。
被災者の高齢化で返済が滞り、国は生活保護受給者や一定基準以下の低所得者らに免除を拡大。ただ、基準外の低所得者は取り残され、被災自治体は債権回収業務が負担となった。このため、神戸市は21年に返済の見込みがある数世帯を除き債権を放棄。姫路、三木、南あわじの3市は返済済みで、尼崎、明石、西宮、洲本、芦屋、伊丹、宝塚、川西、淡路の9市は未返済分が残っていた。
援護資金は政令市を除くと被災自治体が国から3分の2、県から3分の1を借りて被災者に貸し付ける。
県への最初の返済期限が23年3月に迫っており、斎藤元彦知事は22日、県分の債権(約2億円)を放棄する方針を西宮市長らに伝えた。各市は国に返済免除を要望する一方、独自に債権放棄することを視野に検討を進める見通し。【井上元宏】