岸田文雄首相が「政治とカネ」の問題や公選法違反疑惑が相次いでいる秋葉賢也復興相を更迭した。同時に、LGBTカップルを「生産性がない」など、差別的な発言を繰り返した杉田水脈総務政務官も退任させた。
岸田内閣の閣僚交代は、この2カ月で4人目だ。もはや、政権の体をなしていない。
秋葉氏を巡っては臨時国会中の10月、自身の政治団体が妻と母親に事務所賃料として計約1400万円を支払い、母親が確定申告していなかったことが発覚した。
衆院選で秘書に報酬を支払った公選法違反疑惑が報じられ、秘書の活動記録を求められても「法律上の義務ではない」などと拒み続けた。記者会見や自民党への報告で否定していた旧統一教会団体への「会費」支払いも、政治資金報告書で明らかになった。
秋葉氏は疑惑を巡る国会対応に追われ、被災地視察をキャンセルするなど公務にも影響を及ぼす状態だった。
復興相の「途中辞任」は前身の復興対策担当相を含め3人目、東日本大震災の復興絡みの失言・放言で更迭された閣僚も複数いる。被災地から、復興の要となる大臣の頻繁な交代に「いいかげんにしてほしい」といった憤りの声が上がるのは当然だ。
政治資金疑惑では秋葉氏のほか、寺田稔前総務相が辞任し、薗浦健太郎衆院議員が辞職したばかりだ。
ここまで続くと、政治とカネの問題は、自民党に巣くう体質ではないか、とさえ思えてしまう。
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杉田氏は、2018年に、LGBTなど性的少数者は「生産性がない」と月刊誌に寄稿した。16年に自身が出席した会議の参加者を「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」とやゆしたブログを投稿。総務相の指示を受けて、今月の衆院予算委員会で撤回、謝罪したものの、差別表現とは認めなかった。
杉田氏は18年、性暴力被害を公表したジャーナリストを中傷するツイッター投稿に「いいね」を押したりするなどしていた。そもそも、こうした人権意識の持ち主であることは、広く知られていた。
杉田氏を総務政務官に起用したこと自体、岸田首相の見識を疑う。
政権が「個性と多様性の尊重」を掲げていることを考えれば、その任命責任は限りなく重い。
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臨時国会が閉会し、年の瀬も押し迫った時期に、首相が両氏の更迭に踏み切ったのは年明けの通常国会の火種を消し、統一地方選への悪影響をなくすのが狙いだ。
岸田首相は「任命責任を重く受け止める」と述べた。そうであれば、かばってきた2人を更迭した理由もきちんと語るべきだ。「経験と実力に富んだ内閣」と自賛した改造内閣で、政治とカネや旧統一教会との関係、人権意識の欠如が浮き彫りになった。
小手先の閣僚交代で終わらせるのではなく、更迭した閣僚らに説明責任を果たさせ、党の体質を変えられなければ、政治不信は増す一方だ。