炎天下での仕事中に夫が死亡、労災認定を求めて妻が提訴

2021年に、労災認定の基準が「労働時間だけでなく、労働環境も考慮する」ように改定されました。新しい基準で、過労死と認定してほしい。夫を亡くした妻が、国を提訴しました。
(枡之内秀行さんの妻)「家族のために、朝早くから暑い中でも頑張って仕事してくれていたので、仕事上で亡くなったと、どうしても認めてほしいと思っています」。
こう訴えるのは、夫の枡之内秀行さんを亡くした、兵庫県伊丹市在住の妻(48)です。
秀行さんは兵庫県内の建築会社に勤務し、ベランダのタイルの施工などを担当していました。
訴状などによりますと秀行さんは2018年8月、真夏の西宮市内の建築現場で、屋外での作業中に倒れ救急搬送。
くも膜下出血を発症し、その後、死亡しました。
(枡之内秀行さんの妻)「朝早く目覚めたらジョギングしたりしていたので、まさかという感じだった」。
この件について伊丹労働基準監督署は、発症直前2カ月の残業時間は「月平均約62時間」と判断。
「過労死ライン」である「月平均80時間」に満たないとして、妻が求めた労災の申請を退けました。
その後「労災」をめぐって国は、2021年9月に認定基準を改定。
労働時間だけでなく、気温などの環境や体への負荷なども踏まえて、総合的に判断することとなりました。
しかし、妻が申し立てていた再審査では過酷な労働環境は考慮されず、結果は覆りませんでした。
秀行さんが当時作業していたのは、連日30℃を超える炎天下。
さらに夏場でも、長袖・長ズボンが義務づけられていました。
(枡之内秀行さんの妻)「着替えを持って行っても、いつも汗びっしょりだったので、相当きつい中で仕事をしていたと思う」。
それでも秀行さんは、自分が手がけた仕事を妻に、誇らしげに報告することもありました。
(枡之内秀行さんの妻)「どうしても納得いかないんですよね。どうしていつも、時間だけで見られるのかというのが、だからそこもちゃんと判断してほしい、という思いが強いです」。
新基準なら夫の労働環境も考慮されるはずだと、妻は国を相手に提訴に踏み切りました。
(弁護士の話)「新認定基準が、救済の幅を広げた基準になっているのか、今までの旧認定基準を踏襲したにすぎない基準なのか、(今回の提訴は)一つの試金石になる」。
訴えに対し伊丹労働基準監督署は、「個別の事案につき、お答えできません」とコメントしています。