反増税派は正念場 防衛財源めぐり自民の特命委が始動 「増税ありき」の官邸に「けんかを売っている」と怒り鬱積

防衛費増額の財源として岸田文雄首相が打ち出した「増税路線」をめぐる攻防が正念場を迎えている。自民党は16日、萩生田光一政調会長をトップに、増税以外の財源を検討する特命委員会の幹部会を開いた。安倍晋三元首相は防衛力強化で「国債」を提示したが、岸田首相はこれを排除した。世論も「増税」には否定的だが、特命委は増税を阻止できるのか。
「最初から『検討』などもせず、増税ありきで議論を進めている」
岸田首相が「防衛増税」を打ち出したのは、政府与党の会合が開かれた昨年12月8日で、閣議決定は同16日だった。たった1週間で強行した岸田官邸に、反増税派の怒りは鬱積している。
16日の特命委幹部会では、防衛力強化資金を新設する特別措置法案について、政府の説明を受けた。19日には、全体会合を開くが、増税慎重論は根強く、紛糾しそうだ。
幹部会終了後に記者団の取材に応じた西田昌司参院議員は「増税ではなく、国債発行でよい」と力説した。財務省主導の増税論に警鐘を鳴らし続けてきた西田氏は、「防衛増税ばかり報じられ、結果的に防衛費増強に反対する人が増えている」と懸念をにじませた。
すでに駆け引きは始まっている。
萩生田氏や世耕弘成参院幹事長は最近、財源確保のため、国債の「60年償還ルール」を、他の先進国と同様に撤廃したり、延長したりすることを主張した。
だが、政府側は即座に「市場の信認を損ねかねない」(松野博一官房長官)などと否定したのだ。
これについて、西田氏は「(財務省の)間違った認識だ。非常に厳しい批判の声があがった」と語った。結論ありきだとして、会合に出席した議員から「(政府側は)けんかを売っている」との指摘もあったという。
長年、プライマリーバランス(PB=基礎的財政収支)黒字化にこだわる「財政再建派」と、増税などに反対する「積極財政派」のせめぎ合いは続いてきた。ただ、積極派の象徴だった安倍氏が死去し、最近の増税論は「安倍派への財務省の報復」との指摘まである。
情勢をどう見るのか。
ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「増税派が相当に勢いを増している。反増税派は土俵際で、特命委しか拠点がない。どこまで踏ん張れるかだ。国債の仕組みは複雑で理解が難しい。増税派の『借金に借金を重ねている』との批判を論破して代案を示し、政治的に踏ん張れるかがカギだ。同時に、防衛費の問題は、理屈を超えて、政局に近くなっている側面もある。特命委の発信もさることながら、増税を明確に断じる姿勢を打ち出した菅義偉前首相の動向も注目だ」と語っている。