飲食店で客の顔を殴ってけがを負わせたとして、傷害罪に問われた会社役員の男性(50)に対し、大阪地裁は17日、無罪(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。小泉健介裁判官は、「被告以外が負傷させた可能性が否定できない」とした。
判決などによると、男性が2020年2月、知人と大阪府内の飲食店を訪れた際、知人が男性客らとトラブルになり、男性客が左目を殴られ、骨折するけがを負った。知人は大阪府警に現行犯逮捕されたが起訴されず、男性は21年8月に在宅起訴された。一貫して無罪を主張してきた。
小泉裁判官は判決で、検察側が立証の根拠とした被害者の証言について、当時相当量の飲酒をしており、「犯人の特徴を正確に記憶していたとは言い難い」と指摘した。
さらに、店内には他の客もいたが、府警の捜査員が被害者に男性と知人のみの写真を見せて「どっちか覚えていますか」と尋ねた捜査手法は「問題が大きく、不適切な捜査」と批判した。「かなり暗示性が強い状況だった」とし、被害者の記憶を変容させた恐れがあるとした。
判決後、弁護人の西 愛礼 (よしゆき)弁護士は「誰にでも起こりうる 冤罪 (えんざい)事件で、捜査はずさんだった」と話した。