東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、贈賄罪で起訴された広告大手「ADKホールディングス」前社長の植野伸一被告(68)が無罪主張を撤回し、2月17日に東京地裁で予定されている初公判で起訴内容を認める方針を示していることが関係者への取材で判明した。2022年10月の逮捕以降、勾留が3カ月に及び、裁判所から保釈が認められなかったことが影響したとみられる。
起訴状などによると、植野前社長はADKの前身「アサツーディ・ケイ」元専務執行役員の久松茂治(63)、同社元五輪・パラ本部長の多田俊明(60)の両被告と共謀し、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=に、五輪のスポンサー集めで組織委の専任代理店を務めた大手広告会社「電通」の再委託先に選ばれたいなどと依頼し、19年11月~22年1月に計約1400万円の賄賂を渡したとされる。
関係者によると、賄賂とされる約1400万円は、東京五輪の開催決定前の13年7月から22年1月までに元理事が代表を務める会社「コモンズ」(東京都世田谷区)に月約50万円を基本に送金された総額約5000万円の一部。送金の名目はスポーツマーケティングのコンサル料とされ、植野前社長は当初「コンサル業務への正当な対価として支払った」と賄賂性を否定していた。
前社長は起訴された22年11月に保釈を請求したが、東京地裁は認めなかった。今年1月10日に2回目の保釈請求が却下されると、前社長は起訴内容を認める方針に転じたという。久松元専務執行役員と多田元本部長は22年11月の起訴翌日に保釈されており、いずれも起訴内容を認める意向とみられる。
ADKを含む5社から計約2億円の賄賂を受領したとして起訴された高橋元理事は起訴内容を否認する方針で、初公判の日程は決まっていない。【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔】