闇バイト強盗、実行役の個人情報握る指示役…恐怖感与え脱退防ぐ狙いか

各地で相次ぐ強盗事件で、逮捕された容疑者の供述などからグループの実態が明らかになってきた。「闇バイト」の募集に応じたメンバーの個人情報を握って恐怖感を与え、グループから抜け出せないようにしていた。その手口から、警察当局は暴力団など反社会的勢力が関与している疑いもあるとみている。

「家族や職場に危害を加えられるので、やめられなかった」
昨年10月に東京都稲城市で現金約3500万円が奪われた強盗致傷事件で、逮捕された容疑者の1人はこう供述したという。
事件で逮捕されたのは、無職の葛岡隆憲(25)(宇都宮市)、大古健太郎(33)(大阪府藤井寺市)、職業不詳の真坂怜斗(23)(東京都墨田区)ら7容疑者。
捜査関係者によると、7人の大半は、借金の返済やギャンブルなどの遊興費を稼ぐため、ツイッターで高額報酬をうたう闇バイトに応募し、強盗グループに加わっていた。「実行役は100万円前後」「運転役は80万円」などと役割に応じた報酬を示されたという。
指示役からは、メッセージを自動的に消去できる通信アプリ「テレグラム」を使い、本人確認のため顔写真と運転免許証の画像を送信するよう要求される。ひとたび画像を送ると、「逃げたらひどい目に遭う」という趣旨の話をされ、グループから抜けられなくなるという。
容疑者の1人は調べに対し、「自宅に知らない男が訪ねてきて、グループに監視されていると思った。怖い組織に入ってしまった」と供述したという。
こうした手口は、暴力団や、「半グレ」と呼ばれる反社会的勢力が仕切る特殊詐欺事件でも数多く確認されており、警察当局が関与を調べている。

稲城市の事件で逮捕された容疑者7人のうち、大古容疑者は26日、中野区の事件に関与したとして強盗致傷容疑などで再逮捕された。7人のうち2人は、広島市で先月21日に起きた強盗殺人未遂にも関わった可能性があるという。
一方、容疑者が使っていたスマートフォンの解析では、指示役として「ルフィ」のほか、「キム」や「ミツハシ」と名乗る人物も浮上している。
捜査関係者によると、一部の容疑者は「キムが『強盗に行った時は(被害者を)殺してもいい』と話していた」と供述したという。
ルフィやキムらが別人なのか、同一人物なのかは分かっていない。だが、国際電話の着信履歴には、国番号としてフィリピンに割り振られている「63」が残されていた。警視庁はルフィらがフィリピンに滞在しながら、実行役に指示を出しているとみている。
警察当局は、フィリピン当局との連携も視野に捜査を進める方針だ。