米航空宇宙局(NASA)が2027年以降に予定する土星最大の衛星「タイタン」の無人探査計画に、宇宙航空研究開発機構( JAXA (ジャクサ))などの研究チームが参加することがわかった。タイタンは生命が存在する可能性が指摘され、成果には期待が大きい。日本が土星圏の探査に参加するのは初めてだ。
タイタンは直径約5150キロ・メートルで、月の約1・5倍と大きく、主に窒素とメタンの大気で覆われ、地表には液体のメタンが存在すると考えられている。NASAの計画では、探査機「ドラゴンフライ」を27年頃に打ち上げ、34年頃にタイタンに到着させる。
ドラゴンフライはドローン(小型無人機)のようにプロペラで離着陸し、約3年かけて複数地点で大気や地表、地中などを観測する。生命の痕跡や太古の地球に似ているとされる天体の成り立ちなどを探る計画だ。
JAXAは、独自に開発した地震計をドラゴンフライに搭載。地表に着陸している間に観測し、天体の内部構造などの解析に貢献する。もともと月探査機用に開発されたもので、NASAからの打診を受け、タイタンの氷点下180度程度という低温でも揺れを精密に観測できることを確認した。地震計は縦、横各5センチの円筒形で、約300グラムという軽さも評価された。
日本側のチーム長の田中智・JAXA教授(惑星科学)は「米主導の大規模ミッションに参加できるのは誇らしい。タイタンの地下構造などの謎を明らかにしていきたい」と話している。