静岡県内で脱毛エステを巡るトラブルが急増している。無料や割引などを強調するSNS上の広告を見て申し込んだところ、高額な契約を結ばされるケースが目立つという。昨年4~12月の県内の相談件数は前年同期の約10倍に上っており、県内の消費生活センターが注意を呼びかけている。
県中部県民生活センターによると、2021年度の脱毛エステに関する県内の相談件数は89件だった。今年度は、昨年末までに495件となり、前年同期(53件)を大幅に上回っている。このうち、20歳代が345件と大半を占めた。10歳代は26件だった。
同センターによると、18歳の女性会社員は、脱毛サロンの広告を見て、説明を聞きに店に行ったところ、高額なコースを勧められ、その場で50万円の契約をした。その後、女性はすぐに同センターに相談し、クーリングオフ(無条件解約)ができたという。
「無料体験」「大幅割引」などの言葉を見て申し込むケースがほとんどで、通う店が急に閉店し、一括払いした代金を取り返せなくなった事例が多い。同センターの寺本浩子所長は「その場の雰囲気で契約を決めず、冷静に考える時間をとってほしい」と話した。
泣き寝入りせず「188」
消費トラブルの相談に応じる専用ダイヤル「消費者ホットライン(局番なしの188)」の認知度を高めようと、消費者庁や県中部県民生活センターは、JR静岡駅で啓発活動を行った。静岡市出身の声優帆世雄一さん(36)がセンターの一日所長に就任し、通行人に周知した。
同庁が2021年に行った調査で、静岡を含む東海地区での「188」の認知度は42・3%で、関東や近畿地区などを下回った。
帆世さんらは24日、消費者ホットラインのイメージキャラクター「イヤヤン」とともに、JR静岡駅の改札口前に立ち、「商品の購入や契約で困ったことがあったら188に連絡してください」と呼びかけた。帆世さんは、「おかしいと思ったら、『仕方ない』ですまさず、相談をしてほしい」と話した。
消費者庁やセンターは、「『いやや(188)、泣き寝入り』という語呂合わせで覚えてほしい」とPRしている。