神戸市立小いじめ調査、3600万円超 委員委嘱、異例の3年目

神戸市立小学校で18年前に男児が同級生から金銭を脅し取られるなどのいじめを受けた問題で、市教育委員会が設置した第三者調査委員会の運営経費が3600万円を超える見通しとなった。委員の委嘱期間は異例の3年目に入っており、さらに経費が膨らむ可能性もある。被害者の父親(59)は「市教委の対応のせいで長期化しており、税金の無駄遣いだ」と批判している。
「市教委が隠蔽」報告に教育長反論
情報公開請求で開示を受けた被害者の父親が2日、記者会見で明らかにした。開示されたのは2020年11月~22年9月の委員報酬や交通費、会場使用料などで、総額3596万8710円。市教委によると、報酬は内部の基準で、委員が1時間当たり1万2000円、委員長が同1万7000円と定められている。
委員は弁護士や学識経験者ら4人で、2年間で25回の会議を開催。22年11月に「市教委が被害者側の情報公開請求などに際し、いじめの調査記録の存在を意図的に隠蔽(いんぺい)した」とする調査報告書の素案をまとめた。
これに対し、市教委は12月、長田淳教育長名で「第三者性の担保などから本来は意見を申し上げる立場にない」としながらも「公文書解釈の誤りで隠蔽ではない」などと反論する意見書を第三者委に提出した。
父親らによると、最終報告書は3月にもまとまる予定だが、意見書への対応で先送りとなる可能性もある。委員の委嘱期間は2年から延長されており、父親は「経費は4000万円を超える可能性もある。市教委がいじめの隠蔽を認めたら不必要な調査だ。こんな税金の使い方をしていいのか」と話した。
支援する「学校事故事件被害者遺族の会」代表の西尾裕美さん(64)=伊丹市=は同日、「市教委は第三者委の判断を真摯(しんし)に受け入れるべきだ」として、意見書の撤回を求める陳情を市議会に提出した。
この問題は、05~06年当時、小学生だった県内の男性(28)が複数の同級生から日常的に暴力を受けて、50万円超を脅し取られるなどしたもので、裁判でいじめは認定された。しかし、市教委は被害者から十分な聞き取りができなかったことなどを理由にいじめを認めていない。市議会の意向を受け、20年になって第三者委を設置していた。
市教委は「最終報告書が出ていないのでコメントできない」としている。【山本真也】