2022年の刑法犯、20年ぶり増加 コロナ自粛薄れ街頭犯罪が増加か

警察庁は2日、全国の警察が2022年に認知した刑法犯が60万1389件(暫定値)で、戦後最少だった前年から5・9%増えて20年ぶりに増加したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の意識が薄れ、人流が増えて街頭犯罪が増加したのが一因とみられる。ただ、新型コロナ感染拡大が始まった20年(61万4231件)よりは減少しており、同庁は「増加傾向に転じたのか、一時的な増加なのかは、今後の動向を注視したい」としている。
刑法犯は、戦後のピークだった02年(約285万件)から21年まで減少が続いていた。22年は街頭犯罪が20万1619件で、前年から14・4%増加。街頭犯罪の罪種別の増加率は、ひったくり(31・8%)や自転車盗(20・9%)、傷害(15%)などが高かった。警察庁が19~22年の状況を分析したところ、人流が増えると街頭犯罪が増加する相関関係が確認されたという。
また、屋内を含めた性犯罪も増え、増加率は強制性交等(19・3%)や強制わいせつ(9・9%)が高水準となった。強盗は前年比0・9%増の1148件、殺人は同2・4%減の853件で、ほぼ横ばいだった。
一方、警察庁が22年10月にインターネットで全国の15歳以上の5000人を対象に実施した治安に関するアンケート調査では、「日本の治安はよいと思う」との回答は68・6%となり、前年(75・9%)より悪化。この10年で治安が「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」と回答した人は67・1%で、前年(64・1%)を上回った。昨年7月に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件なども影響したとみられる。【松本惇】