広域強盗の指示役とされる4人のうち藤田聖也容疑者(38)と今村磨人(きよと)容疑者(38)が7日、フィリピンから身柄引き渡しを受けたことで、事件は大きな転換点を迎えた。残る渡辺優樹容疑者(38)ら2人も近く強制送還される見通しで、警視庁の捜査は本格化する。グループは特殊詐欺から強盗に犯行形態をシフトしたとされるが、今後の捜査はどう進むのか。特殊詐欺、強盗-。警視庁は「二正面」捜査に乗り出す。
東京都狛江市で住民の大塩衣与(きぬよ)さん(90)が殺害された事件を発端として広域強盗が明らかになったが、警視庁は、まず指示役については、強盗に手口を変えるまでに手を染めていた特殊詐欺の捜査を本格化させる。
4人は、特定の高齢者らが掲載されているリストを使い、フィリピンを拠点に少なくとも2020(令和2)年6月まで特殊詐欺の犯行を重ねていたとみられている。電話を掛ける末端の「かけ子」は交流サイト(SNS)で募り、一定期間が過ぎると履歴が消去される「テレグラム」といった秘匿性の高い通信アプリなどで具体的に犯行を指示していたとされる。
このため、強制送還とともにフィリピン当局から引き渡される4人の携帯電話の解析が、犯行実態や指揮系統の解明のカギを握るとみられる。特殊詐欺の被害は60億円を超えるとされ、警視庁幹部は「到底、看過できない額。特殊詐欺捜査だけでも相当長期を要する」とみている。
一方、強盗事件の解明も急がれ、警視庁は実行役から捜査を積み上げていく構えだ。
末端の強盗実行役も闇バイトで集められ、資産状況が分かる名簿が使われるなど、特殊詐欺の手口を踏襲しているといわれる。リーダー格は渡辺容疑者で、4人が「ルフィ」などと名乗り実行役に指示を出していたとみられるが、誰が、どの「名」で各事件に関わっていたのかは分かっていない。
また、いつの時点で何を契機に特殊詐欺から強盗にシフトしたかも不明で、警視庁は一つ一つの事件で実行役を固めながら、それらの解明を進める。その後、関東や西日本の事件で関係する府県警に実行役の身柄を移し、広域強盗事件の調べを行っていく。
特殊詐欺と強盗は表裏一体で、警視庁は両輪の捜査を積み上げる方針だ。幹部は「体感治安に直結する事件であり、首謀者の突き上げを急ぐ」としている。(宮野佳幸、王美慧)