「山を知り、地域への愛着を」=御嶽山火山マイスターとして発信―長野の教諭

死者58人、行方不明者5人を出した2014年の御嶽山噴火から5年。長野県は17年度から、火山防災の普及啓発や地域の魅力発信を担う「御嶽山火山マイスター」制度を開始し、これまでに11人を認定した。御嶽山の麓にある同県木曽町立三岳小学校で教諭を務める近藤裕吾さん(32)は「もっと山のことを知り、地元への愛着を深めてもらいたい」という教え子らへの思いから、マイスターの認定を受け活動を続けている。
同県上田市出身の近藤さんは噴火当時、京都府舞鶴市で小学校の教諭をしていた。報道で見た「灰でモノクロの世界になった景色」にショックを受け、15年に県の教員採用試験を受け直し、16年4月から三岳小に勤務する。
児童と共に御嶽山や木曽地域について学ぶ中で、「地域に恩返しができれば」という思いを強め、火山マイスターを受験。今年3月に2期生として認定された。
今月6日には、全校児童33人と御嶽山に登った。児童らは体力に応じて、目的地を山頂の剣ケ峰や9合目などから選択。山頂では噴石で穴が開いた鐘について説明した。怖がる児童もいたが、近藤さんは「頂上から見る美しい景色と噴火の怖さ、両面あることを分かってもらいたかった」と狙いを語る。
登山の事前学習として、噴火の仕組みを学ぶ実験や、安全対策も教えた。火山灰から鉱物を取り出し顕微鏡で観察する実験では、14年の火山灰と10万年前の噴火による噴出物を比較し、水蒸気噴火とマグマ噴火の違いを学んだ。「純粋に興味関心の入り口にしてもらいたい」と、御嶽山の歴史を楽しく学べるよう工夫している。
同県では、小中高校生を対象にした「御嶽山ジュニア火山マイスター」の認定も昨年から始まり、既に三岳小の児童ら約60人が認定されている。近藤さんは「怖い噴火災害と表裏一体で今の生活や観光資源がある。物事を多面的に見られる子どもになってほしい」と期待している。