平成9年に起きた神戸連続児童殺傷事件などの重大少年事件の記録が永久保存されず廃棄された問題で、記録保存の在り方について検証する最高裁の有識者委員会(座長・梶木寿元広島高検検事長)の第5回会合が14日、最高裁で開かれた。問題の発端となった神戸連続児童殺傷事件で小学6年の土師(はせ)淳君=当時(11)=を殺害された父、守さん(66)が出席し、思いを語った。
非公開の会合後、東京都内で記者会見した守さんや代理人弁護士によると、この日は守さんが意見陳述。記録が廃棄されたと聞いた際の心情や、記録の閲覧を長年求めてきたことを訴えた上で、廃棄に至った経緯を厳格に調査し、結果を報告することなどを求めた。
最高裁からは「適切ではなかった。反省し、申し訳なく思っている」と謝罪があったという。
神戸の事件を機に少年法が改正され、被害者遺族が希望すれば記録を閲覧できる制度などが段階的に導入された。ただ、土師さん自身は法改正前ということもあり、事件記録を閲覧できないままだった。
会見で守さんは「なぜ子供が命を奪われなければならなかったのか、真相を知りたいという思いで閲覧を求め続けてきた。いつか見られる日がくるのではと淡い希望を抱き続けてきたが、失われたと聞いたときは驚愕(きょうがく)し、憤りを覚えた」と率直な心境を語った。
廃棄が起きた要因について問われると「一般の常識と司法の常識に乖離(かいり)がある。一般企業ではありえない」と述べ、「われわれの思いをきちんと理解し、対応してほしい」と訴えた。
最高裁は、今年4月をめどに廃棄問題についての調査結果をまとめ、公表するとしている。