秋篠宮妃紀子さまが14、15の両日、熊本市で開催された結核予防全国大会出席のため、熊本県を訪問された。15日には国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(同県合志市)で、国による隔離政策下での入所者の生活やハンセン病に対する差別・偏見の歴史を記録した資料館を初めて視察し、入所する元患者らと懇談した。
2022年5月にリニューアルした歴史資料館を訪れた紀子さまは、入所者が実際に使っていた生活用具や逃走防止用の「隔離の壁」、ハンセン病の歴史をたどる年表パネルなどを見学。案内した学芸員に時折質問しながら30分ほどかけて館内を見て回った。
療養所で亡くなった1363人の遺骨が眠る納骨堂では頭を下げて白い菊を供花。箕田誠司園長によると、堕胎手術で亡くなった胎児らを供養するために建立された慰霊碑の前では、目に涙を浮かべて説明を聞いていたという。帰り際、入所者一人一人と握手した紀子さまは「力をいただきました」などと声を掛けていた。
紀子さまと懇談した入所者自治会の太田明副会長(79)は「言葉の端々に紀子さまの人柄が出ていて気さくな方だと感じた」と語った。【栗栖由喜】