「街全て崩れ落ち」 トルコ地震で派遣の消防隊が帰国報告 福岡

トルコ南部を震源とするトルコ・シリア地震を受け、国際消防救助隊としてトルコに派遣されていた福岡市消防局の隊員3人が16日、県内に戻り、高島宗一郎市長に活動内容を報告した。「街が全て崩れ落ちている悲惨な状況」と犠牲者が増える現地の状況を語った。
国際消防救助隊計74人は6~15日にトルコに派遣。グループに分かれて活動した。市消防局からは博多消防署堅粕特別救助隊の平田元記さん(47)ら3人が、同国南部のカフラマンマラシュで8日から8日間活動した。
平田さんによると、街は鉄筋の建物が至るところで崩れ落ち、住民は路上で暖を取りながら生活をしていた。寒さは過酷で、昼間も気温は氷点下、夜は同7、8度だったという。平田さんたちはバスの中で仮眠を取りながら活動を続けた。
余震はそれほど多く感じなかったというが、どの活動現場も危険を伴った。隣のビルが倒れかかる中、ぺしゃんこにつぶれた建物の下も捜索した。早良消防署室見特別救助隊の山下将史さん(33)は「生体反応があったので、『1秒でも早く救出しよう』とがれきを砕き、穴を掘り進めた」という。周囲の安全を確認していた平田さんは「倒れかかった建物を常に監視し、逃げ道を確保しながら進めないといけない。実際建物の下に入った隊員は恐怖感があっただろう」と話した。
救助チームは今回、6人の遺体を収容。平田さんは「生存者の救出ができなかったことが一番悔しいが、ご遺体を家族に返せたのはよかった」と語った。
現地は地震直後の救助段階から復旧段階に移っているという。平田さんは、今後必要な支援に食糧やトイレの整備などを挙げた。
今回派遣された3人は市消防局の中でも救助の精鋭で、訓練の成果が生かされた。平田さんは今回の経験を通じ、各国の建物の強度に合わせた安全管理の重要性を実感。一方で「生存者の救出時には、どこかでもう一つ腹をくくらないといけない。判断材料を今後も増やしていきたい」と力を込めた。【野間口陽】