高まる熱気、日本最大のロケット発射場
日本の新たな主力ロケット「H3」1号機の発射場となるのが宇宙航空研究開発機構( JAXA (ジャクサ))の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)だ。日本最大のロケット発射場で、打ち上げ時には種子島が多くの宇宙ファンによる熱気に包まれる。H3打ち上げに向け、ファンが周辺に続々と集まっている。(科学部・渡辺洋介)
センターは種子島東南端に位置。海岸線に面し、約970万平方メートルの敷地を持つ。H2Aロケットなどを打ち上げる「大型ロケット発射場」、「衛星組立棟」などの施設があり、人工衛星やロケットの整備から打ち上げまで行う、日本のロケット開発の最前線の基地だ。
ロケットが上がる方向に海が広がり、安全を確保しやすいことなどからこの地が選ばれた。自然豊かで「世界一美しいロケット発射場」とも言われる。
敷地内には宇宙開発についての展示施設「宇宙科学技術館」もあり、無料で一般の人も入ることができる。模型や映像、パネルなどで日本のロケット開発や有人宇宙開発などの歴史をたどれる。打ち上げの音響体験も見所の一つだ。
15日に友人と千葉県から来た大学1年の小田崇礼さん(20)はH3の打ち上げを見るため初めて訪れたという。「新型エンジンになるH3は今後の宇宙開発を担う存在。どんなふうに打ち上がるか楽しみ」と話していた。
東京都の自営業中村茂さん(65)は、ロケットの打ち上げを毎回のように中継で見てきた。「1号機なので生で見て目に焼き付けたい。無事に飛んでほしい」と願っていた。
センター内は事前予約で案内ツアーもある。同型の8号機の失敗により、打ち上げ中止となったH2ロケット7号機の実物などを見学できる。ただし、ロケット打ち上げ前後はセンターに入ることはできない。