御嶽山噴火5年 王滝頂上の規制緩和見送りに遺族反発「早く言ってほしかった」

死者・行方不明者63人を出した御嶽山噴火災害から5年。長野県王滝村と木曽町主催による追悼式が27日開かれたが、王滝村は、王滝頂上への立ち入り規制緩和を今年は見送ると決め、遺族らの反発を招いた。
同村での追悼式の開式に先立つ午前10時過ぎ、村は「本年中の9合目避難小屋から王滝頂上への入山規制緩和は実施しません」との発表文を報道各社にファクスした。
村はもともと9月中の緩和を目指していたが、7、8月の天候不順で安全対策工事の資材を現場に運ぶのが遅れた。このため頂上での退避壕(ごう)(シェルター)の設置完了が10月にずれ込み、最終的な検査が終わるのは10月中旬以降になるという。この時期は年によっては雪が降ることもあり、登山者の体調や安全を考え緩和を断念したという。
村は当初、一般登山者の規制緩和を見送ったとしても、遺族や行方不明者家族には配慮し、10月上旬に特別に入山を認める可能性があるとしていた。だが、遺族らの慰霊登山も「できない」と伝えた。王滝頂上に入山できるのは来年7月1日の山シーズン開幕からになる見通しという。瀬戸普村長は追悼式後の取材で「期待をしていた人にはおわびしたい。天候次第ということで諦めてもらうしかない」と話した。
遺族らでつくる「山びこの会」のメンバーは不満を隠さなかった。噴火当時、犠牲者の中には王滝口登山道から登った人も多く、歩いたルートをたどりたいという思いがあるからだ。会は追悼式後、瀬戸村長や原久仁男・木曽町長と意見交換の場を持ち、村が工事の遅れを説明した。
行方不明の野村亮太さん(当時19歳)の父敏明さん(59)=愛知県刈谷市=は今年度中の緩和を待ち望んでいた。亮太さんは王滝頂上から剣ケ峰に至る八丁ダルミ付近で行方が分からなくなった。
規制緩和見送りは式直前に報道陣から知らされたといい、野村さんは意見交換会後の取材で「行政側が全家族にアナウンスすべきだ。だめならだめでもっと早く言ってほしかった」と村の情報提供のあり方に不満を示した。【小川直樹、原奈摘】