群馬県内で防犯グッズの売り上げが伸び、警備会社には契約に関する相談が多く寄せられている。関東など各地で相次いだ「闇バイト」に絡む強盗事件などで、家庭で防犯意識が高まったことが背景にある。県警は、在宅中・外出中にかかわらず施錠することなどを呼びかけている。
「伊勢崎でも強盗事件があり、怖い。普段は窓のシャッターを下ろしているが、それだけでは安心できない」。ホームセンター「ジョイフル本田 新田店」(太田市)に防犯グッズを探しにきた高崎市の女性(50歳代)が不安を口にした。女性は、人の気配を察知すると光り出す「センサーライト」を探しにきたといい、「早く安心して暮らせるようになってほしい」と話した。
昨秋以降、「闇バイト」に絡む強盗事件が関東などで相次ぎ、県内でも昨年12月に前橋市内で起きた窃盗事件が関係しているとみられている。今月13日未明には伊勢崎市の民家に刃物を持った男が侵入して住人にけがを負わせ、現金を奪って逃走する強盗致傷事件も発生した。県民の「体感治安」は悪化している。
同店では「闇バイト」に絡む強盗事件が明らかになった1月下旬以降、防犯グッズの売り上げが急増した。2月中旬までの売上額は前年同期比の約1・9倍になり、売り場面積を3割ほど拡大した。
特に売り上げが伸びているのが、防犯カメラと、ドアや窓に付ける補助錠で、補助錠の売上額は同約4・8倍になった。踏むと大きな音がなる「防犯砂利」やセンサーライトもよく売れ、一時は品薄状態が続いた。村越大輔店長は「高庭の家族がよく買っていく」と話す。
警備会社「 ALSOK (アルソック)群馬」(前橋市)には、契約に関する相談が相次いで寄せられている。同社によると、一連の強盗事件が報道された1月以降、問い合わせ件数が前年同期と比べて3倍ほどになったという。
強盗犯や窃盗犯は人目につくことを嫌がるため、県警は家庭での防犯のポイントとして、防犯カメラやセンサーライトの設置などを挙げる。また、犯人は侵入先を事前に調べようと警察官などを名乗って家族構成や資産状況を電話で聞いてくることがあるといい、注意を呼びかける。県警生活安全企画課は「警察官などが電話で資産を聞いてくることは絶対にない」と強調し、「在宅、外出中を問わず、必ず施錠をしてほしい」としている。