「他の指示は無視して良い」〈秘書への指示メール入手〉秋本真利外務政務官が国会で虚偽答弁の疑い

秘書給与法違反の疑いが浮上している秋本真利・外務大臣政務官(47)が、国会で事実と異なる答弁をしている疑いがあることが、「 週刊文春 」の入手したメールからわかった。
これまでの報道を裏付ける証拠を入手
秋本氏は2012年に千葉9区から初当選し、現在、当選4回。昨年8月の内閣改造で、外務大臣政務官に就任した。再生可能エネルギー事業の推進に熱心で、河野太郎デジタル相の最側近としても知られている。
「 週刊文春 」2月2日発売号では、秋本氏の地元事務所が無許可で市街化調整区域内に建築され、違法状態にあった旨を報道。秋本氏は翌3日の国会で「深く反省をしています」と述べたうえで、事務所を移設する方針を示した。また、「 週刊文春 」2月9日発売号では、再エネ事業を手掛ける「レノバ」との関係を巡り、秋本氏がレノバ関係者からの献金について国会で否定していたにもかかわらず、同社の創業メンバーで特別顧問だった人物の会社から献金を受け取っており、虚偽答弁の疑いがある旨を報道。秋本氏は「法的には何ら問題ないものだと認識している」などとしている。
さらに「 週刊文春 」2月16日発売号で報じたのが、秘書給与法違反疑惑だ。
「秋本事務所では2021年6月、弁護士の小林亞樹氏が政策秘書に就任した。ただ、彼女は本業が忙しく、殆ど国会事務所に出勤できない。日常業務に支障が出ないよう代わりの常勤秘書が必要でした」(事務所関係者)
そんな中、小林氏に誘われ、私設秘書になったのがC氏だ。C氏は2021年5月から昨年6月まで、国会事務所に平日は9時から18時まで勤務。名刺には〈秋本真利 秘書〉と記され、個人用アドレスも支給されていた。ところが、C氏に給与を支払っていたのは、秋本事務所ではなく、小林氏だったのだ。
衆院予算委員会で秋本氏は疑惑を否定
それを裏付ける証拠が、「週刊文春」が入手した「業務委託契約書」(2021年6月1日付)。小林氏とC氏の所有する賃貸物件を管理する個人会社の間で締結されたものだ。〈衆議院秋本真利の政策秘書業務に付随する一切のサポート業務を委託〉し、銀行振込で〈報酬として月額25 万円を支払う〉旨が明記されていた。公費である政策秘書給与から、C氏の報酬を出せば、秋本事務所は人件費を支出する必要がない。事実上、秋本氏が私設秘書の給与を政策秘書に肩代わりさせている構図で、国会議員による秘書への寄附の要求を禁じた秘書給与法21条の3に違反する疑いがある。
2月17日の衆院予算委員会では、秋本氏の秘書給与法違反疑惑が取り上げられた。ただ、秋本氏は政策秘書の給与を私設秘書と二人で分けていたとの疑惑を否定。その根拠は、C氏はあくまで「B氏(小林氏)が自身の政策秘書業務を補完するために契約した方」であり、自身の指示ではなく、小林氏の指示で仕事をしているというものだ。
秘書給与法違反疑惑の重要な争点は
実際、野党議員の質問に対し、次のように繰り返していた。
――イエスかノーでお答えをください。秋本衆議院議員が直接仕事を指示したことはありますか。
「C氏は、議員会館などにおいて、B氏(小林氏)の指示で仕事をしてくれておりました」
――直接指示をしたのかを聞いているんですよ。お願いします。
「繰り返しで大変申し訳ないんですけれども、C氏は、B氏(小林氏)の了解の下に事務を行っているわけであります」
つまり、秘書給与法違反疑惑において、C氏は秋本議員の指示で仕事をしていたのか、あるいは政策秘書である小林氏の指示で仕事をしていたのか、が重要な争点となっているのだ。もしC氏が秋本議員の指示の下、繰り返し仕事をしていれば、C氏の雇用者は秋本議員ということになり、給与を小林氏に肩代わりさせていたことになる。
「週刊文春」は、私設秘書であるC氏への取材依頼を重ねてきた。当初は断っていたものの、最終的にC氏は、以前から相談をしていた知人M氏の同席のもとで取材に応じることを決断。M氏から「重要なのは事実を伝えること」と助言を受け、「週刊文春」の求めに応じ、秋本氏とやり取りしたメールを提供した。そこに記されていたのは――。
国会答弁とは明らかに矛盾しているメール
例えば、2021年7月18日、秋本氏はC氏に次のようなメールを送っている。
〈明日から千葉の団体回りをスタートさせてください。会長や事務方の名前、分からない団体は話したように進める事〉
2021年7月と言えば、任期満了に伴う衆院選が同年10月末までに予定され、各議員は選挙区回りを活発化させていた時期。そうした中、秋本氏もC氏に対し、自らの選挙区(千葉市若葉区など)回りの指示を出してきた。
2021年7月28日には、以下のようなメールを送っている。
〈若葉区以外の千葉市+いくつか示したと思ったけど。Cさん(原文は本名。以下同)の中でそうなってないなら若葉区以外の千葉市を回った時点で他は回らずに一度終えて下さい〉
そして、こう続けた。
〈Dは不正確だし私と違う事を言いそうなので指示は受けなくて良いです。私に確認して下さい。他からの指示は無視して良い〉
D氏は秋本事務所の公設第二秘書。しかし、D氏の指示は不正確ということもあり、自身の“直接指示”以外は従わなくていいと命令しているのだ。これに対し、C氏は〈若葉区以外の千葉市を回った時点で、報告致します。途中経過も都度、報告しますので、よろしくお願い致します〉と返事をしている。
これらのメールの内容は、「C氏は小林氏の指示で仕事をしていた」旨を繰り返してきた国会答弁とは明らかに矛盾している。
秋本事務所に事実関係の確認をすると、以下のような回答が
永田町法律税務事務所の長谷川裕雅弁護士が指摘する。
「C氏が実際に議員事務所や選挙事務所に通勤し、議員から日常的に指示を受け、それに従った労務を提供していたならば、労働基準法が適用される雇用関係の存在が認定される可能性が高い。仮に議員事務所として賃金を支払っていなければ、タダ働きをさせていたことになり、賃金を支払う義務が生じる。タダ働きでないとすれば議員からC氏への給与が支払われていない以上、やはり政策秘書に給与の一部からC氏の給与を支払わせていたことになり、秘書給与法21条の3(寄附の要求の禁止)違反の疑いも強まる」
秋本事務所に事実関係の確認や、国会での虚偽答弁及び秘書給与法違反の疑いに対する見解を求めたところ、以下のように回答した。
「ご質問の人物(※編集部注:C氏)は公設秘書(※小林氏)が自分の仕事を補完させるために委託していたものであり、同秘書の指示のもとに動いておりますので、貴誌のご懸念は当たりません」
秋本事務所の回答について、C氏はこう語る。
「国民を守るべき立場でありながら自分達の保身と利に走ることが残念に思います」
今後どのような説明を行うのか
秘書給与を巡る問題でも虚偽答弁の疑いが浮上し、秘書給与法違反の疑いも強まってきた。相次ぐ虚偽答弁疑惑に、秋本氏の説明には大きな疑問が投げかけられている。政府の一員として、今後どのような説明を行うのか、対応が注目される。
2月21日(火)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および2月22日(水)発売の「週刊文春」では、菅義偉元首相の名前も登場する秋本氏がC氏に送ったメールの詳細や、C氏が支給されていた車両通行証の存在などについても報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年3月2日号)