「40人学級に戻す」との憶測を否定 沖縄県「少人数は変えない」 担任の欠員で限定実施も

来年度の沖縄県内の小中学校の学級編成を巡り、県教育庁が少人数学級を廃止して以前の1学級40人に戻すのではないかとの不安が保護者や教員から出ている。深刻化する教員不足を背景に、誤った情報が広がったためで、一部の学校では管理職が「来年度は40人学級にする」と明言するなど混乱。教育庁は本紙の取材に「少人数を推進する方針に変更はなく、実施できるのにしない事態は想定していない。担任に欠員が生じた場合などに限り、学級人数を見直して未配置がないようにしてほしいという趣旨だ」と説明している。(社会部・下里潤)
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少人数学級の拡大はこれまでの知事選の公約でも掲げられ、よりきめ細かい指導を実現しようと県内では2002年度に小1の35人学級でスタート。その後は順次拡大し、21年度までに小1と小2で30人、小3~中3で35人を上限とした少人数学級を実施している。国の基準は小1~小4と中1が35人、それ以外は40人となっている。
■「言葉が一人歩きしている」
ただ、急な引っ越しで児童生徒数が増えた場合をはじめ、教員補充が間に合わなかったり、学級数を増やすと1学級当たりの人数が少な過ぎたりするケースでは、以前から県の上限を超えても弾力的に運用されてきた。
教育庁の担当者は「40人学級という言葉が独り歩きしているが、少人数学級の方針は引き続き堅持する」と強調。例外として「新年度に担任がいない状態でスタートするのは子どもたちのためにならない。そうならないよう国の基準を超えない範囲で学級編成を行うことはあり得る」と話した。
現場の教員からは、担任の未配置を防ぐ手法として肯定的な意見がある一方、1学級当たりの人数が増えれば教員の負担が増し、さらなる病休者を生みかねないとの懸念も上がっている。
■「先生が足りません」 有志が訴え
教員不足の問題を受け、県内の教員や市町村議員など有志十数人が20日、那覇市の沖縄都市モノレール県庁前駅近くに集まり、「先生が足りません」「ゆとりある教育環境を」などと書かれたプラカードを掲げながら、きめ細かい教育の継続や働き方改革を訴えた=写真。
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■家庭との両立に悩み退職も
発案した教員の一人は「学級担任の未配置を防ぐために検討されているとしても、40人学級では業務過多で子どもたちと向き合えない。現場の先生を追い詰め、さらなる病休者を生む」と指摘した。精神疾患による休職から復職しようにも、40人学級ではハードルが高いとし、「35人学級の継続に向けて県側は明確な方針を打ち出して」と力を込めた。
別の教員は「そもそも人手が足りない。多忙過ぎて家庭との両立に悩み、辞めてしまった同僚もいる。教員不足のしわ寄せはいつも子どもたちだ」と涙を浮かべ、「新学期に向け、教員免許を持っている人が挑戦してみようと思える環境づくりが大切だ」と話した。(社会部・下里潤)