シャンシャン中国へ向け出発 お別れにファン300人 最大の懸念は〝エサ問題〟

ジャイアントパンダのシャンシャンが21日、生まれ育った東京・上野動物園から中国四川省にあるジャイアントパンダ保護研究センターに向けて旅立った。
この日は早朝から約300人以上のファンが最後のお別れのため集結。上野公園内に設けられた特設エリアのほか、歩道にもズラリと行列ができた。シャンシャンを乗せたトラックが現れると、姿は見えないながらも「シャンシャ~ン」と涙ながらに別れを惜しむ声が多数上がった。
通常、ジャイアントパンダは生後2年で中国に返還する協定だが、シャンシャンは新型コロナウイルス禍もあって異例の5年7か月、2080日の長期滞在だった。5歳と〝結婚適齢期〟を迎えたシャンシャンは、今後は〝伴侶〟となる繁殖相手を探すことになる。
19日には最後のお別れをするため、抽選に当たった約2600人のファンが最終観覧に駆けつけた。なかにはリンゴ好きな一方で、ニンジン嫌いなシャンシャンの中国での〝食事〟を心配する人もいたが、実は中国に渡る際の大きな不安要素が餌にある。
上野動物園教育普及課長の大橋直哉氏は「シャンシャンは餌を選り好みするため、飼育員も餌には苦労していた。伊豆半島産のタケを常に3種類以上与えていたが、同じ日の同じ種類のタケでも食べるものと食べないものがあった。タケの匂いで選別していた可能性がある」と指摘。シャンシャンが好みの餌を見つけられるかという問題があるのだ。
ジャイアントパンダは体は大きいが環境の変化に敏感で、何がきっかけで体調を崩すかはわからないという。実際、昨夏には工事に伴う園内の引っ越しが原因とみられるストレスで、体重が102キロから95キロに急減したことがあった。今回、生まれ育った上野動物園を離れることは大きな負担となるだけに、シャンシャンの体調を維持するためにも中国で好みの餌を見つけることは不可欠。中国で立派なお母さんとなるためにも、〝グルメ〟なシャンシャンの舌を満足させる餌にめぐり合えることを願うばかりだ。