日本の次世代大型ロケット「H3」初号機が、予定の直前に異常を検知し打ち上げを中止したことについて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、検知された異常は、第1段ロケットの主エンジンLE9に電源を供給する電気回路で電圧が数秒間にわたり、ゼロになる現象だったと明らかにした。文部科学省の有識者委員会で報告した。
電源供給のための回路がつながっている第1段ロケットの制御システム内で、電気の流れを接続、切断する半導体スイッチの不具合の影響で起きた可能性が高いとみている。今後、さらに詳細な原因調査を行って必要な対策を実施。3月10日までの打ち上げを目指すという。
JAXAによると、初号機は今月17日午前、打ち上げの約6・3秒前に主エンジンに点火したが、直後に第1段ロケットの制御システムが、主エンジンへの電源供給回路の電圧がゼロになっていると検知。次の段階である、推力補助用の固体ロケットブースターの点火信号の発信を自動停止して、打ち上げを中止した。
電源供給回路の異常の原因は、制御回路内の半導体スイッチの不具合が影響を与えた可能性が高いというところまで絞り込んだという。今後は、さらに詳細な原因調査を行い、必要な対策を実施する。